第97話

「じゃ、帰ろうか」


古城はアンディと肩を組むと、楽しそうに話しながら歩き始めた。見ていると早く歩いているようには見えないのに、どんどん先へと行ってしまう二人。花音は遅れて二人の後を追った。


「花音ちゃんも、おいで!」


振り返ったアンディは優しく声を掛けると古城との間を開けた。花音が二人の間に入ると、再び歩き始めた。今度は花音の歩調に合わせてくれている。花音は嬉しくてスキップしたい気持ちになった。


(幸せ!)


キュッと高鳴る胸に手を置いて、花音は二人を見上げた。


「じゃあ、車回してくるから、ここで待ってて!」


古城は駐車場の方に、足早に去って行った。


車に乗ると、アンディはすぐに眠ってしまった。


「先生、お疲れなんですね」


「時差もあるしね」


「先生、日本に着いてから休む間もないみたいなので心配でした」


「体だけは丈夫だから心配する事無いよ!」


古城は笑いながら花音を見て、ハンドルを切った。車はスムーズに走り、程なく中津に着いた。


「アンディ、着いたぞ。起きろよ」


アンディはやはり疲れていたようで部屋に案内すると、また、すぐに寝てしまった。チャッピーはアンディの手をクンクンと嗅ぐと古城の元に戻ってきた。

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