第87話
「どうしたの? 会社で何かあった?」
一点を見つめて黙りこんでいる花音に古城が声を掛けた。
「え?」
「元気無いから」
「ううん、大丈夫です!」
(いけない。変に思われる。お母さんの事でいっぱいお世話になってるのに、こんなこと相談できない。それに、軽い子だと思われるかも……)
「そう?」
「なにか、会社であったんじゃない?」
古城がさらに聞いてきた。
「ないです。何にもないです。いつもと一緒です」
花音は元気よく答えた。
「そう?」
「はい」
心配そうに見つめる古城に、花音は恥ずかしくなって思わず下を向いた。。
(私って、そんなに顔に出るのかな? 恥ずかしいな……)
しばらくの沈黙の後、
「…………メシ食ってからお母さんの所に行こうか」
「あ、はい」
「何か食べたいものある?」
「何でも好きです!」
「イタリアンは?」
「大好きです! スパゲティも好きだしピザも好きです!」
(古城さんとなら、なんでも大好き!)
花音があんまり元気よく返事するからか、古城がハハと声をたてて笑った。
花音は顔を真っ赤にして、蚊の鳴くような声で「すみません」と謝った。
「謝らないで……、こっちこそ笑ってごめん。元気になったみたいで良かった」
「え?」
「沈んでる様子だったから、心配だったんだ」
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