マンボウ

第1話

水族館。

魚がいっぱい。

海の動物がいっぱい。

水族館では、基本は撮影禁止。

小さいころは、わからなかったけど、今はわかる。

魚がショック死する可能性があるからだ。

（多分）

マンボウの大きさが、きわめて目立つ。

「マンボウさんよ」

「何？」

「まあね」

「ああ」

「体重は？」

「女性に訊かないように」

「メスだったのか？」

「見て、わからない？」

「同じに見える」

「まあ、子供のあなたには、教えてあげる」

「どうも」

「１トン」

重い。

「あなたは、オス、メス？」

「男だよ。見てわからんか？」

「同じに見える」

魚からしたら、人間は同じに見える。

「ところで、人間くん」

「何？」

「私たちを、食べないでね」

「遠慮しておく」

「よかった・・・」

「水っぽくて、不味い」

確かに、マンボウは不味い。

食用ではないな・・・

・・・てな会話を、心の中でしてた。

マンボウも、そう言っている気がした。

クラゲを、美味しそうに食べていたのが、印象深い。

「美味しい？マンボウさん」

「うん。あげないよ」

「いらん」