第128話 王国との定期戦④


「で、何があった?」


 リッツ「フローラが急に、カッテルとイチャイチャし出したんだよ」


 うん?なんだそれ?


 それで何で倒れてんだ?


「はあ?それが?」


 サヤカ「幻覚です、それと精神操作」


「なんだと!クソのカッテルの奴!」


 サヤカ「でも、これはカッテルだけの犯行ではないわ。あの子達が主犯よ」


 サヤカが言うのには、元聖女の娘たちだった。


「サヤカ、フローラは大丈夫か?」


「ええ、どうにか大丈夫。トーマ、彼女にヒールをしてあげて」


「えっ?君の方が適任じゃない?」


「あなたが最後に癒しをしてあげて」


「ああ、まあ、いいけど」


「いい?しっかりと癒してね」


 たしか、心に寄り添うようにだったか、本気のヒールって・・・。


 オレのヒールの理論はソフィーから習った。


 もう、意識をせずとも自分なりにできるのだが、重症や心への癒しには、心構えが必要だ。


 オレは、フローラの綺麗な顔を思い浮かべ、彼女が笑顔になるようにと願う。


 彼女が、がんばってダンスをしている表情を思い浮かべる。


 この前のダンパでの彼女の上気した、満足の笑顔を思い浮かべる。


「ヒール、そしてキュア!!」


 どっちも似たようなモノという認識しかないオレは、二つ一緒に唱えた。


 どっちかが効けばラッキーって感じで。


 オレとフローラの身体が光り輝く。


 そして、彼女は、目を開けて。


 オレに抱きついた!


「ええっ?」


「ありがとう、トーマ!」


 オレは、サヤカをフローラの肩越しから覗き見ると、サヤカはにっこりしていた。


 どういうことだ?


 やがて、フローラは離れた。


 その離れ際、オレの頬にキスをした。


「お礼よ・・・」


 なんだ?フローラって、オレのこと嫌いじゃなかったのか?


 ちょっと、混乱したが、その時!


「きゃーー」


「何をする!」


「お前らが悪いんだろう!」


 悲鳴と怒声が響いた。


 オレは、カッとなった。


「おい、おまえら!!オレも混ぜろ!!」


 アヤメ「なによ、さっきからエラそうなんだよ、あんた!」


 フィーナ「フローラともっとイチャついてなさいよ、王子様」


「あはははは、もっとってか?いやーーまいったぜ!でもな、お前らとも仲良くなりたいからな」


 アヤメ「はあ?何を言ってるのよ?バカじゃない?」


 フィーナ「そんなこと、直接言うなんて、下品ね。うふふふ、そう言えば顔も下品だったわね」


 アーネ「あなたたち、何てことを言うのですか!謝りなさい!」


 ジェイ「そうだ、君達こそ、人を貶してばかりで、心が下品だぞ!」


 シェリー「彼女たちは、心に思っていることを素直に口に出してるだけ。それがなぜいけない?あなた達、友達の様に振舞ってるけど、内心は何を考えてるのか。そして、ジェイ、あなたの剣筋は見極めた。つまらない男。もっと本気を出しなさい。そして、女性にも本音でぶつかりなさい。あなたは、姑息な男」


 ジェイ「な、なにを、知ったようなことを言ってる?お前にオレの何がわかる?」


 シェリー「わかる。剣を交えれば心がわかるってのは、剣を極めるうえでは基本。そんなこともわかってないし、出来ないあなたでは、私には勝てない」


 トーマ「おい!ここでは勝負をするな。シェリー、おまえ・・・たくさんしゃべれるんだな、あははははは」


 シェリーは、顔を真っ赤にした。


「な・・なに?・・・あなたは・・・」


 そう言って、シェリーは大人しくなった。


 トーマ「よしよし、フローラも元気になったし、今晩は、ここまでだ!いいな、おまえら!!!!!!!!!!」


 アヤメ・フィーナ「くっ・・・・・」


 カッテルはうずくまった。


 帝国のみんなは、オレを見て、驚いている。


 アーネとサヤカとフローラは、顔を赤らめた。


 ジョンは、寝ているって、コイツ?


 えっ?ちょっと、大声、出し過ぎた?


 トーマ「えっと・・あははは、良し!お開きだ!戦うのは、今度の試合でやれよ!な!」




 こうして、翌々日、試合が始まった。


 いきなり、ジェイVSシェリーのエース級対決から始まった。


 なぜかは知らないがホントはオレが最初だったんだけど、やはり、第一王子は最後でないとと、誰かがバカな事を言ったので、オレの組み合わせとジェイの組み合わせが交代になった。


 いや、ジェイの後が嫌だったので、オレがゴネた結果、こんな事になった。


 この戦い、ジェイは、ナメていたようだった。


 しかし、彼はシェリーの技に驚愕することとなる。


 ジェイは速攻で決めるべく、オレより速い瞬歩でシェリーに接近し召喚した金剛剣で打突したが、あっさり弾かれたため、すぐに距離を取る。

(アレを弾くだと・・しかも、いつの間に剣を両手に持っている?)


 シェリーも、また、直ぐ様剣を召喚したらしい。


 女子なのに、二刀は珍しいなと、オレは思って見ていたのだが、実は彼女は二刀ではなかった。


「それでお終い?がっかりさせないでよ。今度は、こっちから行く。そして、終わり」


 速い!


 しかも、オレとかはできないが、直線的に瞬時に移動したのではなく、くの字に曲がってジェイへ打突した。


 有らぬ方向からの突然の攻撃だが、さすがはジェイ。


 身をよじりながら、剣を合わせた。


 しかし、二刀なので次なる攻撃が時間差でやって来る。


 しかし、それにもからくも反応し、ジェイは弾くのだった。


「がはっ!!」


 だが、しかし、ジェイの口からは、血が流れ出た。


 ジェイの腹に剣が刺さり、背中から剣先がのぞいていた。


 何が起こった?




 筆者注)

 戦闘中に魔法の発動は基本、無詠唱。

 戦闘中は、詠唱している余裕がないのと、敵に何が来るのかがわかるということで、無詠唱で行う訓練をするのは当然だ。

 しかし、慣れないモノや威力を込めたいときには詠唱をする。











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