第11章 ジェイが主人公だった!?

第111話 フランツ王国第一王子

 ここは、フランツ王国。


 王宮内の特別室にて。

「閣下!我が国の第一王子が見つかりましたでございます!」

「なに!何だと!見つかった?」


「ははっ!かれこれ十数年前に、後宮に出入りしていました吟遊詩人の女性にお心当たりはございませんでしょうか?」

「う~~~~ん、わかんないな~~~。いっぱい、やっちゃったからね、あはは!」

(さすがはピエール様ですbyシモン)


「我が王国魔道師のスパイからの情報で、すでに裏は取ってあります。その女性は死にましたが、この紋章をその息子が所持していたとのこと。どうか、御吟味ください」


「うむ。う~~~んと・・・うん?・・うんうんうん、そうか!思い出したよ!その女性って、髪の毛の色が青くなかった?」

「はい、その通りです」

「うん、うん。そして、ムネがでかくなかった?」

「はい、その通りです」

「うん、うん。そして、首筋のここんところが感じる女性ひとだったよね!」

「・・・・・・」


「うん、うん。そして、この紋章の裏のここ!ここに、ぼく、ちょっとイタズラした後がちゃんとあったよ。うん、うん、これに間違いないよ。よくわかったね!」


「因みに、どんなイタズラでした?」

「はははは、それは秘密!それは代々伝わる国王だけの秘密だよ、あははは」

(ホントか?byシモン)


 こうして、ピエールの血を引く第一王子が突然、フランツ王国に降って湧いたのだった。


 さて、どんな王子様なのか?


 フランツ王国謁見の間にて。

 そこには、金髪碧眼のピエール似のイケメンがひざまずいていた。


「そなたが王子か?名前は何と言う?」


「ジョングルールと言います」


「では、ジョンと呼ぶことにする。お前は、今からジョンだ。良いな!」


「はい。あの、私はどうすれば?」

「決まっている。シモン!」


「はっ!ジョン王子には、ある程度の基礎知識をご教授致します。そして、王立学園へ入学して頂いて、更なる研鑽に励んでいただきます」


「そういう事だ。しっかりやれ!」

「はい。それで、あの・・・王子になったので、婚約者とか、必要ですよね?」


「なに?婚約者だと!!100年早いわ!しっかり勉強しろ!」

「は、はい!」


 こうして、ジョンは、勉強漬けの毎日を送ることになった。


「おい、シモン!アレ、大丈夫か?」

「それは・・下々の所で吟遊詩人の真似事をしてましたので、まだ基礎基本がわからないだけでありましょう。なにせ、閣下の血が流れてますので、早く貴族の暮らしにも慣れ、勉学に励まれることでしょう」


「まあ、そうだな。でも、オレの血を受け継いでる男子って、ちょっとまずいかも?(小声)」

「えっ?何かおっしゃられましたかな?」



 ピエールの懸念は当たっていた。

 ジョンは、女の子が大好きだった。


 ある時、ジョンは、トイレへ行くとウソをつき、後宮へ忍び込んだ。



 後宮には、簡易な教会があり、そこで後宮の人たちのためにミサが行われる。

 そのため、ソフィーやサヤカは、時々、その教会へ行くのだった。


 ソフィーなどの元聖女達は、後宮の離れの部屋で寝起きしている。

 もう、ピエールとは没交渉であり、王妃としての務めもしていない。


 従って、ソフィーはミサをし、集まった者たちに祝福を与えながら、日々若返る側室達の様子を見るにつけ、心を痛めるのだった。

 ソフィーには、もう聖女としてのチカラが無く、彼女たちの洗脳を解くチカラがない。


 だから、サヤカの成長を願い、特にサヤカに目を掛けて教えているのだった。



 そして、このジョンが忍び込んだ日に、偶々、ミサが開かれようとしていた。


 サヤカは、後宮の洗面所へ行き、手を洗い、鏡を見ながら身嗜みを整えていた

ところが、そこから出たところで、ジョンに抱きつかれ、口を塞がれそうになった。

でも、何とか脱出し、走って逃げた。


 ジョンは、必死で追ってくる。

 ニタニタと、下卑た笑いを浮かべ、気色が悪い。


 助けて―と、叫んでも、もう教会の方へ皆は行ってるのか、人影がない。



 ~~~~サヤカ視点


 どうしよう!

 どうしよう!

 あの人、速い。

 追いつかれちゃう。


 あっ!ここは!


 私は、急いで、物置部屋に隠れた。

 かつて、ここに何度も閉じ込められたことがある、良く知った場所だ。

 ここなら、きっと、わからないよね。


 そうして、静かにやり過ごそうと、じっとしていた。


 しかし、それは、甘かった。


「ここだなぁ~~~、出ておいで~~~」


「わかってるよ~~~、そこに居るんだろ?匂いでわかるもんね~~」


 ああ、何てこと。

 いつも付ける香水の匂いを嗅いでるんだ。

 さっき、洗面所で付けたばかりだ。



「み~つけた~~~!!」


 私は、またしても、この男に抱きつかれ、一緒に床に倒れた。


 そして、私は組み敷かれてしまった。


 どうしよう?

 怖い!

 誰か、助けて!!


 口を塞がれながらも、大声を出そうとするのだが。

 声がくぐもり、上手く声が出せない。


 助けてーー!!

 誰か・・・トーマ、助けて!


 私は、なぜか、トーマ王子に心の中で助けを求めていた。


 もちろん、王子が来るわけがないのに・・・・・。






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