第31話 エリーナ=ルーチェ①

 ジ「・・・お主・・・それは・・・わしが知っている勇者の中で、最悪・・・トーヤよ、ワシはお主のことを見誤っていた!」(じゃ!byじじい)

 ト「えっ?」


 エ「なんという・・・勇者様・・・わたし・・・私も見誤っていました・・・」(・・わたし、もっとエラそうで、の人間だと思ってたわ。この人なら・・・わたしの・・・・byエミリ)


 二人とも、目に涙をためて、憐みの籠った?目線を向けてくる。


 ト「えっ??」


 オレ、やっちまった?

 いや、オレ、また、バカにされてる?

 つまり、あの回答では、ダメってことか?


 だが、ウソ偽りは言ってねー!


 そうか!

 正解は・・・・自分を信じること・・か?


 勇者というのは、魔王を倒すためだけの存在ではない。

 それをこのじじいは、オレに教えようとしているのか?

 魔王を倒すだけなら、倒した後は、勇者って何者?ってことだよな。


 かつての勇者たちは魔王を倒したのちに、なぜかすぐに死んでいる。

 それは、もう用済みだと言わんばかりに・・・。

 彼らも、魔王を倒すためにと頑張ったはずだ。

 でも、そこで終わっている。

 魔王を倒すってことで、一杯一杯だったのだろう。

 だから、命まで終わったと考えられないか?


 このじじい、とぼけている様で、実は賢者なのではないか?

 大賢者ではないだろうがな。


 オレに勇者はどうあるべきかという、真の意味を問うている。

 そして、このじじいは、その答えを持っている。

 いや、その答えを答えることのできる勇者を長い間、待っていたのかもな?

 エミリは、よくわからんが・・・・。


 ト「じじい、わかったよ。真の勇者とは、自分を信じ、努力し続けることができる勇者のことだ。すでに勇者の称号を得ているという事は、その者が勇者である資質をすでに持っていることになる。だから、それだけではダメなんだ。つまり、真の勇者ともなると、その資質だけではない、その先にあるモノを目標にしていなければならない。別に具体的な目標でなくとも、資質の先にある何かを追い求める真摯さと情熱と知恵を持たねばならない。今のオレにとっては、資質とは命を懸けて魔王を打倒する使命感であり、その先にあるモノとは・・・・オレには、まだわからんが、これから自ずとわかると思う、そう自分を信じて努力を怠らなければね、そして、そういう者が・・・それが真の勇者ってことだ。どうだ、じじい?それに、エミリ?これがだ!」


 長かったか?意味、伝わった?


 ジ「(ファイナルアンサー?)エミリ、納得したか?」

 エ「(ファイナルアンサー?)はい、わたしは、勇者様についていきます」

 ジ「トーヤよ、それが答えじゃ」

(これに答えはないのじゃよ、ヒトそれぞれの答えがあるからの、だが、ワシが聞いてきた中で一番は、間違いなくお主、トーヤだ!何も知らないエミリでさえ、感動しておる、それが何よりの証拠であろうよbyじじい)


 ト「はい?」

 じじい、あんた、答え合わせを奴隷のエミリにしてんじゃねーよ!


 ジ「愉快じゃ、まことに愉快じゃ!トーヤよ、お主、歴代最強勇者になるんじゃぞ!」

 ト「もちろん、そのつもりだ!やる時は、やるぜ、じじい。見といてくれよ」

 ジ「善き哉、善き哉!乾杯じゃ、トーヤ、そしてエミリ!」

(エミリ・・・いや、ミーシャよ、お主の今後にも神の祝福を!byじじい)


 ジ・ト・エ「かんぱーーい!」


 この時のことは、一生忘れないと、オレは思った。




 一夜明けて、オレは、エリーに叩き起こされた。

 なぜか、ソフィーとアヤカもいて、オレを睨んでいた。


 ト「えっ?寝坊した?」

 エミリ「ご、ごめんなさい。私が早く起きてれば!」

 ト「えっ?」


 エリー「あんた、誰よ!」

 エミリ「私は、勇者様の奴隷です」


 聖女たち「ええっっ!!!」


 オレは、理解した、この状況を。

 エミリがオレのすぐ横で、あられもない姿で一緒に寝てるという、この状況を。

 オレはあれから鳥の鳴き声が聞こえるころまで飲んでたけど、そういえば、ずっとエミリとも一緒だったっけ?そして、奴隷契約をしたっけか?

 まさか、寝床まで一緒だったとは?


 ソフィー「不潔です、もう、話しかけないでください」

 アヤカ「トーヤくん、いくら自分に恋人がいなくなったといっても、これはないでしょ」

 エリー「トーヤ、今日は何があるのか知ってるよね?ちょっと、オモテに出ようか?」


 ト「みんな、落ち着いてくれ!」

 聖女たち「なによ?」

 ト「このは、そんな・・いわゆる・・」

 エミリ「性奴隷です、勇者様の」


 ト「はあ?」


 ソ「・・・・・・・・」

 いや、なんかしゃべって!


 ア「わかってた」

 わかるなよ!


 エリー「私がいるのに!」

 はい?何を言ってるのかな?


 ト「違う違う!誤解だよ!オレ、ナニもしてないから!」


 ア「その手には乗らないわよ」

 ソ「・・男の人って、みんなそう言うって、シスターが言ってました」

 ソフィー、怒ると丁寧語になるのか?

 そのシスター、多分、男の経験がない人だよ!


 エリー「わたしが一番だったはずなのに・・・」

 こいつ、さっきから何を?



 エミリ「私は、ご主人様とこれから仲良く、各地へご同行させてもらう代わりに、ご主人様のいろいろなお世話を承っております。聖女様方は、あまりお気を使わなくてもおよろしいので、これからはご主人様を構っていただかなくても結構です。ご安心くださいませ」


 エリー「えっと、何語?」

 ア「ご主人様ってのがトーヤくんみたいね」

 ソ「・・・・・・・・」


 このソフィーの沈黙が一番怖いよ!


 オレは、二日酔いで頭が痛いので、ソフィーにヒールを掛けてもらおうと思ってたが、頼めなかった。

 すると、エミリがヒールを掛けてくれた!

 ナイスだ、エミリ!

 この娘、意外と役に立つかも?



 そんなこともあり、気まずい乍らも、ある部屋にオレとエリーは居た。

 もちろん、聖騎士と会うためだ。


 騎士団長「待たせましたか?私が聖騎士騎士団長のクラークと言います。以後、お見知りおきを」

 ト「オレは勇者トーヤです。よろしく」

 オレたちは握手した。

 クラークは、強く握って来た。

 オレも握り返した。

 すると、さらに強く握って来た。


 ト「クラーク団長は力がお強いですね、完敗です」

 そう言って、わざとこの力比べを負けた。


 ク「いえいえ、それほどでも(この勇者、弱いな)」

 ト「ここは、魔族との戦闘が多いそうですけど、今はどんな状態なんですか?」

 ク「そこのエリーナも知ってるとは思いますが、ここの前線は強者つわものが揃っていますので、お手を煩わせることはないと思いますが、危急の時にはご助力をお願いしますね(こんな弱い勇者などいらんけどね)」


 ト「そうですか、では、そういう時には、お声をかけていただければ、いつでもご協力いたします」

 ク「はい、それでは、これにて」

 こうして、あっけなく、騎士団長との対談?は終わった。



 そして、幾ばくもなく、エリーの婚約者が現れた。

 たしかに、変な香水の匂いがする。







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