第22話 王国の計画

 話しは、トーヤたちが成人の儀を終えた頃から始まる。


 〜〜〜

 王宮にて


 ピエール「なに?!勇者が出ただと?!」

 シモン「ついに、この時が来ましたな」

 ピ「それにしても、2回連続でわが国とは!」

 勇者が出た国が、勇者パーティーを支援し、その国が中心となって魔王と相対せねばならない。

 これが、この世界の、人間族の決まり事である。


 ピ「早速、勇者パーティーのメンバーの情報を集めよ!」



 〜〜〜2、3日後


 昼食から始まった会議は、深夜まで続いた。


 そのほとんどが情報収集とその報告、それと、どこの組織が何を担当するのかという組み分けとその予算の獲得に躍起になっていた。


 ピエール「今夜は、もう、遅い。凡そのことは分かった。あとは、私、宰相、近衛騎士団団長、王国騎士団団長、王国軍軍隊長、王国魔導師筆頭、財務大臣、総務大臣、外務大臣だけで決定する。そして、今言った者たちは、また、明日の昼からいつものところで会食だ!以上だ!」


 ~~~翌日


 マーガレット「もうそろそろ起きないと、お昼に間に合いませんよ!」

 ピエール「う~~~ん、まだ寝ときたい」

 マ「ダメですよ。お昼から、また大切な会議でしょ?」

 ピ「もう、ホント、勇者なんか、なんでこの国に出たんだよ~~」

 マ「駄々こねないの。メですよ!メ!」

 ピ「かっわいい~~~、ママ、おっぱいほち〜よ~~」

 マ「さっき、チューチューしてたでしょ?もう、甘えん坊さんね!」


 使用人「コンコン、コンコン、国王陛下、宰相のシモン様が至急、報告すべきことがあるとのことで、面会を打診されておられますが、いかがいたしましょうか?」


 ピ「今・・あっ、いや、もう少ししたら行くと伝えよ!」

 使用人「はい」

 ピ「それと、ヤミ茶を持ってまいれ!」

 使用人「はい、いつも通りでよろしいでしょうか?」

 ピ「う~~ん、そうだな、いつもより茶葉を3割増しにせよ!」

 使用人「はい、承りました」


 マ「3割って、濃くない?ちょっと、飲み過ぎは良くないわよ、ピエール」

 ピ「はははは、ありがとう、マリー、優しいね。ヤミ茶って、ホント、ヤミつきになっちゃうね。はあー、気合を入れないと。深夜に君に気合を入れ過ぎて、今、萎びちゃってるから・・ごめん(下品だったかな?)」

 マ「うふふふふ、大きくしてあげましょうか?」

 ピ「えっ、いいの?」

 マ「妻の務めですわ」


 使用人「コンコン、コンコン。お持ちいたしました」

 ピ「マリー、今晩・・・お願い、今晩してね!」

 マ「もう・・それじゃあ、練習しとくね」

 ピ「えっ?」(ナニで練習するの?)


 マリー心の声:よし!今晩のお夜食は私が指図をして作るわよ!萎びたお腹を一杯にしてあげるからね!



 ーーーーーー


 昼からの会食は、それまでに、各部署で案を取りまとめたので、大枠は決まった。

 細部については、また、各部署で直ちに決め、宰相の判断に任せることに決まった。

 あとは・・・・・・。


 昼食後、二人は密談をしていた。

 ピ「そうか、勇者と一緒に剣帝と姉貴が来るのか・・・」

 シ「シオンは、とりあえず我が屋敷に入れ、さらに、魔道学院に行かせる予定です。ザインは、また、一仕事も二仕事もしてもらいましょう。いかがですかな?」


 ピ「それで良いよ。次は、勇者パーティーの扱いだが?」

 シ「大前提として、勇者は魔族や魔王と戦い勝たねばなりません。それには、あの聖剣が頼りです。つまり、勇者は聖剣を扱えなければ、ただのゴミですが、それには・・・・」

 ピ「ああ、わかっている。それには、聖女たちの力が必須だ。あれらの、愛が必要なのだろう?」

 シ「そうです。聖剣の真の力を発揮するには、それが絶対条件と、かの大賢者が申しておりましたので」

 ピ「それを知っているものは、僕たちだけか、今となっては・・・」

 シ「あの方も先の政変に巻き込まれたので・・・・」

 ピ「まあ、彼が生きてたら、僕も好き勝手できなかったかもしれないけどね。でも、こういう時には、全部任せられるけどね。はあーー。」


 シ「しかし、今の勇者に、あのような過酷な訓練をさせようとなさるとは・・さすがは我が君!このシモンも見習わなければ」

 ピ「はは、そう?ちょっと、あのプログラム、厳しかった?ははは、まあ、ノリでキツめに改変したからね。だって、アレでしょ?勇者って、女の子にモテるでしょ。それ、嫌だし。勇者だから強いとか、カッコいいとか、嫌だよねー。彼には、取り敢えず、最弱になって貰おう。そのほうが他人が彼に寄って来なくていいでしょ。でも、後はどうやって、勇者の気持ちを聖女に向かわせるかか?ところで、騎士団からちょうど良い者がいるの?」


 シ「それは、もう、あのアイスドールですよ」

 ピ「その名前は懐かしいな。今では、レディデビルとか、鬼姫おにひめとか言われてるけどね。そうか、彼女、まだ処女だっけ?」

 シ「左様ですな。しかも、今の女騎士の中では筆頭の腕前。あの、男を寄せ付けぬアイスドールが、もし籠絡されたら、その時は御覚悟のほどを」


 ピ「まあ、最悪を考えるのは基本だが、一体、どんなヤツかは会ってみないとな。ところで、アイスドールを上手く、操縦するようにな、シモン」

 シ「心得ております」


 ピ「それじゃあ、まずは、勇者の婚約者である剣聖をどうにかしなくちゃいけない訳だけど、あ奴を使う?」

 シ「はい、このような時のために、あのスキルを持ったもの達をずっと配下に入れておきましたので、大いに活躍してもらいましょう」

 ピ「だが、相手は剣聖。まだなり立てだからと言って、軽く見ないようにしないとね」

 シ「そこのところは、たぶん、大丈夫でしょう。そもそも、剣聖が覚醒しないように、訓練は適当にさせ、それよりも大切な事を作ってやります。それに、自ら、望んで婚約破棄をしてくれる可能性もあるかと。彼女は、右も左もわからなぬ田舎娘ですからな」


 ピ「まあ、ダメだったら、僕のスキルを使っちゃうけど、いいよね?」

 シ「はい、その時は、よろしくお願いいたします」


 ~~~~~~

 勇者に謁見後。


 ピ「あれは、賢いな。しっかりと監視させないとダメだ。それに、あの目、あの眼差しは・・あの子は、強者になる。問題はそれが王国にとって吉と出るか凶と出るか、か?」


 シ「それを見極めるためにも、しっかりと監視させます。それとルーシーにも、言い含めておきます」


 ~~~~~~

 それから少し経って。


 ピ「上手く、ソフィーがサーヤと親しくなってくれてよかったよ」

 シ「上手くいきそうですが、もう一押ししときます」


 ピ「その慎重なところが好きだよ、ぼく、要らなくない?」

 シ「何をおっしゃいますか、陛下!」

 ピ「はいはい、では、一押ししてください」

 シ「お任せを」



 〜〜〜〜~~

 それから何日か経って。

 ある一室にて。

 

 ピ「おめでとう、ルーシー」

 ル「はっ!」

 ピ「もう、君に夢中だろ、勇者君は」

 ル「・・そうであってほしいですが、このようなモノを預かりました」

 ピ「見た?中身?」

 ル「はい・・少しだけ」

 ルーシーは顔を赤くした。


 ピ「そう、全部読んだんだw」

 ル「いえいえ・・その・・最初と最後だけです」

 ピ「そう、最初から最後までなんだw」

 ル「いえいえ・・最初と最後だけです」


 ピ「君は・・・ははははは・・・また、同じことを言うね・・はははは」


 ピエール、一読。

 ピ「これは、一先ず、私が預かる。いいね。このままでは、剣聖がかわいそうだからね。彼女は、僕が助けてあげるからさ。このことは、勇者には言わないように。いいね。」


 ル「・・・・はっ!」


 ピ「身命に代えてもって、言わないんだねwもう、下がっていいよ。君たち親子は、これで、安泰だね。なにせ、君は勇者の妻になるんだからね」


 ル「ありがとうございます」


 ルーシーは、退室した。


 ピ「どう思う?シモン?」

 シ「ルーシーは大丈夫です、あのにも見張りを付けてますしね」


 ピ「しかし、厄介な事だ。もう、疑いの余地がないだろう。まだ、本格的な覚醒はしてないはずだから、これよりB案を採用するよ。しかし、田舎者の童貞の小僧が魅了のスキルを使うとはね、羨ましい・・・」

 シ「陛下?」


 ピ「いや、国王として、前回の轍は踏まないからね、絶対に!それにしても、勇者の力は、計り知れないものがあるな。大賢者が生きてて欲しかったよ」


 シ「陛下、我々の知識が少ないのは致し方ありませんが、わかっている範囲から最善の手を打つだけです」


 ピ「ふぅー、じゃあ、もう次の段階だね」


 シ「はい、これからは、聖女たちには、修練を厳しく致しますので、もうピエール様はお会いになりませんように」

 ピ「それは残念だね!ところで、これ(手紙)、シモンに任すよ。そういうこと、得意でしょ」


 シ「ピエール様ほどではございません」

 ピ「ふはははははは・・・・」

 シ「ふはははははは・・・・」

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