第7話 トモちゃんが来てくれた!

春のお日様はとても暖かだけど、まあばあちゃんの心は暗く沈んでしまいました。まるで重い荷物を背負ったように足取りも重く、うつむきがちに歩いていました。悲しくて周りがまるで見えませんでした。


「おばあちゃん! おばあちゃんてば!」


聞きなれた声がしました。孫娘トモちゃんでした。ジロもいます。まあばあちゃんに体を寄せて幸せそうにシッポを振っています。


「どうしたの? さっきから呼んでるのに~」


心配そうに聞いてきます。


「うん。ごめんね」


「あちこち探したんよ。ねっ、ジロ! お母さんがひょっとしたら隣町のフリマかもって言うから、こっちへ来てみたんよ。」


孫娘のトモちゃんはまあばあちゃんの肩をキュッと抱き寄せて言いました。まあばあちゃんを包む空気がゆっくり変わっていきます。暖かい風に包まれるように……


「あれ、おばあちゃん。何も買わなかったの?」


まあばあちゃんは返事に困りました。さっきのつらい事は言いたくありません。どう言おうか悩んでいると、


「ねっ、おばあちゃん。もう1回フリマに行こうよ。」


まあばあちゃんは怖い思いをしたので、もう帰りたかったのですが、せっかくトモちゃんが来てくれたのに言えませんでした。


「おばあちゃん、ずいぶん歩いて疲れたんちゃう? ここ座れば?」


トモちゃんはまあばあちゃんをシルバーカーの上に座らせました。ジロのリードはまあばあちゃんが持ちました。トモちゃんはゆっくりとシルバーカーを押します。


「おばあちゃん見て、区民祭りってあっちこっちに書いてあるわ。ほらね。」


今日のフリーマーケットは区民祭りのイベントだったのです。

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