第39話 まだ若い女の子たちと・・・

 一年生の田中みのりは顔を赤らめドキドキしながらおずおずと手を伸ばした。

 みのりは柔道部の一年生の中でも、特におとなしい性格の女の子。


 男性に触れる、初めての経験に緊張していた。


「ほら、もっとこっちにおいで」


 英一は優しくその手を取ってみのりを引き寄せる。


「あ・・・」

「心配しなくても、大丈夫。最初はだれでも緊張するんだから」

「は・・・はい」


 緊張で、体がカチガチである。


「もっと、力を抜いて」

「は・・はい!」


 上目使いで英一を見上げる少女。


「さあ、やってごらん」

「わ・・わかりました・・・こ・・・こうですか・・・?」


 右足を踏み出し、左足で英一の足を掛ける。

 英一は、コテンと転がった。


 小外刈り。




 2日目の午前中も、英一は他の部員の練習相手になっていた。

 澄子さんの指示である。


 特に一年生は、まだ経験が浅い。

 そのため、英一に技をかけることで大きな相手に対する場合の経験になるとのことであった。


 起き上がりながら、英一はみのりにアドバイスする。

「うん、こんな感じで。もう少し踏み込んで技をかけたほうが良いよ」

「あ・・ありがとうございます!!」


 3人いる一年生。

 交代しながら順番に相手になる英一。


 

「山本さん。今回、英一さんが参加してくれてほんとによかったですよ」

「いえ、もう好きに使っていただいて構いませんのよ」

「いや、それは申し訳ない」


 向こうでは先生と澄子さんが椅子に座ってなごやかに談笑している。



 そして・・・向こうの方では・・・



「もう一丁!」


 ズダアアアアン!!

「ちょ・・・・ちょっと休ませて・・・」

「まだ始まったばかりよ!」


 冴島由紀は鬼気迫る表情のかおりの相手をしている。


「ちょ・・・ちょっと、かおり。お願いだからもう勘弁して・・」

「まだまだ!」


 由紀は、合宿から逃げ出したくなってきた。

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