第9話 出会い

私は特殊詐欺をしている時に、知り合った女性が沢山居たのですが、この中で大分の女性が1人居ました。

その女性と知り合った事により、私の人生は泥沼に堕ちていくのです。

後にこの女性は、私の妻になり今回の事件で長期刑の有罪になってしまう殺人事件へと発展してしまうのです。


その女性とは私が特殊詐欺をしている時に知り合い何度か食事に行ったことがありました。

1度博多に来たこともあり、博多駅筑紫口にある居酒屋に行きました。

そこで飲んでいたのですが、私がいつも持ち歩いている鞄の中に財布が入っていない事に気付いて、すぐさま女性に報告し、家まで5分位の所なので、取ってくるからこのまま待っててと伝えました。

家に財布を取りに戻り、居酒屋に戻ったのですが、元居た場所に彼女は居ませんでした。

居酒屋の店員に確認したところ、彼女はお金を払って帰ったの事でした。

私がその場を離れたのは10分程度の事なのですが、駅の構内や辺りを探したのですが居ませんでした。

電話をして謝り、後日お金を返したいと言ってもう一度食事の約束をしました。

それから数日が経ち、今度は博多ではなく、彼女の地元の大分で食事をしました。

それからと言うものの、かなり頻繁に一緒に食事をしました。

食事をする場所は大分市内か別府市内と決まっていて、私が彼女に会いに行っていました。

食事をした日は必ず彼女の家に泊まり、次の日に博多に帰ると言う繰り返しでした。


その頃はまだ詐欺をしていたので、東京に帰る時もありましたし、地方に行くことも多々ありました。

そんな生活をしているある日の冬、彼女と一緒に別府市内のホテルに隣接してあるお店に食事に行って、食事が終わり彼女の家に戻っている時に、私はこんな話を彼女に打ち明けました。

私が過去に少年院や刑務所に入っていたこと、悪さばかりしてきたことなど、全てを彼女に打ち明けました。

いったい何故そんなことを打ち明けたのかと言うと、その時に私は他にも女性と付き合って居たのですが、本気でこの女性と結婚したいと思う様になっていたので、自分の全てを打ち明けて、もし彼女が『それでもいい』と言ってくれるなら、他の女性とは全て別れて、この女性と結婚して生涯を共に過ごそうと思っていました。

私は帰り道に全てを打ち明けました。

彼女は『別にそんなの関係ないし、気にしないよ。今は真面目になってやっているんだから良いじゃん』と言ってくれました。

私は嬉しくて、彼女と結婚することを決めました。

それからというもの、私は彼女の家に転がり込む形で同棲を始めました。


私はそれまでやっていた詐欺の仕事を私の信用する奴に任せることにして、私はあまり荷担しなくなりました。

同棲を始めて数日が過ぎた時に、何か仕事をしないと行けないと思ったのですが、大分には誰も知り合いがいないので、ハローワークに行って良い仕事見付けては面接に行ってを繰り返している内に1つの職場で雇って貰えることが決まりました。

その会社は舗装会社で、道路工事をしたり、マンションやアパートなどの駐車場や工場内の舗装をする会社でした。

ちゃんと働くようになったのが確か夏頃だったかと思います。

夏の暑い時期に塗装会社で働くなんて私は舐めていました。

ものすごく暑くてとんでもない仕事量で私は数ヶ月我慢して働きましたが、結局長くは続かずに辞めてしまいました。

会社の人達は凄く優しくしてくれていましたし、社長や社長の奥さんからも良くして頂いたのに残念でした。

塗装会社を辞めた後は直ぐに次の仕事を探すためにまたハローワークに行ってましたが、そんな時に彼女から『職業訓練もあるよ』と言われ、詳しく聞いたところハローワークに行けば説明してくれると言うので早々にハローワークに行き、説明を聞いて応募しました。

応募して数日が経った頃、ハローワークから電話があり、後日面接があると言うので大分市のポリテクセンターに面接を受けに行きました。

会場に入った瞬間そこには、沢山の人達が居たのでビックリしました。

男性も女性も職が無い人達で混雑していたのです。

面接は1日掛けてあり、後日採用、不採用かの通知が自宅に届くと言うことでした。

数日が経ち、用紙が届き採用の通知書がありました。

確か10月頃から職業訓練校に通い始めました。

10月~3月までの間、6ヶ月間でその間、電車や車で通っていました。

その間バーでバイトをしたりしていました。

私が職業訓練校で希望した科は建築科でクラスには42人位の人達がいて年齢もバラバラでした。

上は60代の方がいて下は確か私が一番下でした。

クラスの皆で飲み会を開いたり食事に行ったりしていました。

職業訓練校に通っている間のお昼ごはんは、毎日妻が作ってくれたお弁当でした。

しかし、それだけでは足りなかったので売店でおにぎり、サンドウィッチ、カップ麺等を購入して食べていました。

たまに私がお弁当を作る日もあり、その時はもちろん妻の分も作っていました。

時間がなくお弁当が間に合わなかった時は、後から妻が学校に持ってきてくれることもありました。

妻は妻なりに頑張っていてくれましたし、私も支えようと思っていたので、早く働いて妻を支えなくちゃと思っていました。


そんなある日、クラスメイトで飲み会をしようとなり、全員参加だったので私は妻にその報告をしたのですが、妻は凄く嫌な素振りをしていたのでどうしたのか⁉️を聞くと妻は『あまりそう言う所には行って欲しくない』と言うので

私は『それは無理だよ』と言ったのですが、妻はその言葉にムカついたのか、私に対しての態度が冷たくなりました。

私がクラスの飲み会に行く時は、妻は必ず私に『クラスメイトの中に彼女でもいるのか⁉️』と言って来るのです。

そんな言葉を交わしながら、何度か飲み会に行ったのですが、その度に妻は『彼女がいるんだな』とずっと言ってくるので、私は怒りましたがそれが逆効果で私達は口喧嘩をして数日間妻と口を利かない事もありました。


そんな職業訓練校の半年間でしたが何とか卒業が出来ることになりました。

卒業間近に私に1つの企業の方が面接をしたいと言う事を学校の先生からお伺いし、私は1つ返事で面接を受けることにしました。

確か1月中旬の事だったと思います。

人事の方、総務の方、副社長と3人の方が面接室にいて、約2時間位だったか、会社の概要を聞いたり社内を回ったりして、話がトントン拍子に進み、私をその場で採用してくれました。

その日の内に、給料の事や仕事着の支給、携帯電話の支給、会社の車の支給などの説明があり、2月3日から勤め始めることになりました。

私はすぐさま妻に電話をして、採用されたことを報告しました。

妻は喜んでくれて本当に嬉しかったです。


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