後書き
個人的に、市販の小説でも“後書き”と言うものをほとんど読みません。
意図して読んでいない、と言うより読み時が無いと言うのが正確でしょうか。
小説を読了した直後と言うのはまだ完全に作品と別離しておらず、あれこれ考える時間が欲しい。
その時間の長さは作品の内容によって違いますが、思案が終わった時には、どうにもその作品に戻る気が無くなっている事が多いのです。
もうひとつ個人的なスタイルなのですが、基本的に同じ作品を二度以上読み返す事はしません。
後書きと言うのは、作品の外側で行われるものです。前回の“第四の壁”よりこちら(現実)側で読むものだとも思います。
映画館で、エンドロールの途中で席を立ち、また戻ってきて席につくようなものと考えると、それなり以上にエネルギーを使うと思います。
勿論、よほど印象に残った作品なら最初から通して二週目を読む事もありますし、結末がわかると見方が変わったりするシーンを部分的に確認するような例外はありますが……。
後書きは、作者(もしくは後書きを引き受けた人)が直接顔を出す場所です。
作品の内容にしか興味がなく、読了後もそれだけを考えたい性分としては、ちょっといつ読めば良いのか悩む所です。
作者本人の場合は、作中に語られなかった意図なども盛り込まれている事があるでしょうから、本当は読んだ方が良いのでしょうが……。
出来れば作中で全て出しきって欲しい気もします。
あとは、デリケートな題材を扱い、作者としての何らかの説明責任がある場合は、後書きが必要と思います。私も、それで一度だけ例外的に後書きを書きました。
作者周りの内輪話だったり、何故か今更物語の粗筋を連ねる後書きも多いのですが、個人的にはなおのこと読む意義が感じられません。
同じことが、設定資料にも言えます。
人物の背景や世界情勢や、魔法の仕組みと言った設定を本文の前に置いてあるパターンです。
私も昔やりましたが、これについてはほとんどネット小説にありがちな話ですね。
以前も考察しましたが、自分の設定を読者に伝える事は、言い換えれば未知の事柄を「勉強させる」事です。
私のように、とにもかくにも話を読みたい人間としては、読む気があまり起きないものです。
まして「冒頭の資料で説明したでしょう」と言わんばかりに情報が省かれていると非常に困ります。
確かに設定を書くのは楽しいのも事実ですが、楽しく書いた物が楽しく読まれる保証はどこにもありません。
そして、設定と言うのは書き続けていても切りがありません。
最悪そこで作者が飽きてエタってしまっても本末転倒でしょう。
極端な話になりましたが、こう言う読者も居ると言う事でひとつ。
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