物語の人物には一人っ子が多い?
まともに統計を取ったわけでは無いのですが、物語の人物には兄弟が居ない・明言されないケースが多い気がします。
まず、小説においては、本筋の話に関係無い要素は描写を避けるのがセオリーでありましょう。
その人物に兄弟が居るかが話の肝とならない限り、文章に無駄が増えて読み苦しくなるリスクが出ます。もしくは、書き手にとっても不要な手間と意識を取られます。
また、その人物を登場させた動機には「こんな性格の人物を出したい」と言うのが必ずある筈です。
その人がその性格となった背景には、生育環境が大きく関わります。兄弟の存在などは、最たるものでしょう。
例えば、周りを顧みない個人主義者や、後輩の扱いが苦手な人物を描いたとして、その人に弟や妹が居たら。
良くも悪くも、兄弟関係はどのようなものだったのか? と疑問が出ると思います。
勿論、こうした長子としての属性を逆利用する手もあるでしょう。(下の兄弟と触れ合ってきた筈なのに、何故か年下が苦手など)
また、これはあくまでも傾向の話であり、現実世界で全ての長子が長子然としたキャラクターであるわけでもありません。
けれど、多数派の論理はやはり、自然とスタンダードにされやすいと思います。
親の存在も同様です。
法整備・世界秩序の整った現代ドラマでは、多かれ少なかれ人物の親まで描写される事は多いと思いますが、これがハイファンタジー等になると、途端に「天涯孤独の人物」が多くなっていると思います。
確かに、その人物において「書きたいこと」がある場合において、周辺の家族まで深く書き込むと、最初に書きたかった事からブレたりするリスクもあるかも知れません。
例えば極端な例。
幼くして修羅の道を行く少年兵の両親が健在だとしたら、親は何をして居るんだ? と思われかねない。
この場合は、下手に親を設定しない方が無難ではありましょう。(これも、逆利用出来るならこの限りではありません)
ただ、主人公などを無条件で天涯孤独の身でスタートさせる前に、その人が幼少期どんな家庭にあったかを立ち止まって考えるのも一つでは無いでしょうか?
これもまた、私の身の回りにおける傾向の話に過ぎないのですが、
私を含めた「男の一人っ子」と言うのは、結構マイペースで空気を読むのが苦手な人間が多いです。(女の子の場合は母親とのコミュニケーションが密な事が多いため? あまり私のような人を見ませんが)
例えば、下に弟や妹が居るなら、家にあるお菓子を自分一人で全部食べたら怒られてしまう。
下の子を気遣って、ある程度は我を抑えなけらばならない事もある。
逆に上に兄や姉が居たなら、失敗も成功も良いお手本となってくれる。色々な事を先に“予習”出来るのです。
次男次女ほど要領の良い例も、結構見たことがあります。
兄弟姉妹の存在があると、家の外から出る前に対人関係の訓練が出来るのだと思います。
これは学校生活、仕事、あるいは戦場でも出る性質では無いでしょうか。
裏を返せば、ある人物に兄弟を設定した場合、キャラクター像がそれに引っ張られる事もあるという事です。
穏和な女性に性格のきつい妹を設定してみる、とか良くありそうな手法でしょうか。
けれどその時点で、姉と妹はお互いのキャラクター性に密接に繋がる事になるでしょう。
姉はなぜ穏和で、妹は何故対照的な性格なのか?
妹の出番がそこしかなければ、それでも良い。
しかし、姉に与える影響は大きい筈です。
属性の違う女子を出したい、と言うだけで姉妹を追加するのは、逆に大変な事になると思います。
主要な人物一人一人に経歴書を作る作家も居るそうです。
私も割りと、経歴書というには簡易的ですが、作って眺めてから本文に取り掛かったりしています。
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