休みの日でも関係ない。
しくじった。
オレは今、猛烈に後悔している。
休日だからと油断していた。
もっと周囲を警戒していたら、こんなことにはならなかっただろう。
自室のベッドには、当然のように寝転がる少女――姫。その手にあるのは本来オレが読むはずだった、買ってきたばかりの漫画。
どうしてこうなったのか。
それには深いようで割と浅めな訳がある。
※
今日はオレのイチオシ漫画『
でも面白いのは確かで、数少ない楽しみなのだからやめられない。
大学生活は全くうまくいかず、交友関係ゼロで勉学もボロボロ。挙げ句の果てには私生活にうざったいメスガキまで入り込んできてもう
オレはウキウキ気分で本屋へ直行、無事購入。そしてすぐに帰宅した。
で、やっとその時気付いた。姫が本屋からずっと
どうやら偶然本屋でオレを見つけたらしく、買った本を読ませてもらおうとついてきたそうだ。自分で買え。そして作者に
※
と、まぁこんな調子で今に至る。
幸いなことに今日も家にいるのはオレだけ。姫が部屋でくつろいでいることにビクビクする必要はない。心臓に優しい状況なだけマシだと思って我慢しよう。
「うわっ、グロ~い……。えー、どうなるのコレ……」
寝転んで読書中の姫は、見逃せない展開の連続で一ページごとにハラハラしながら楽しんでいる。心の声が自然と
薄手のワンピースなのでいちいち中身が見えそうになる、そんな幼さ
って、姫を観察している場合じゃなかった。
オレはそっと静かに姫の私物――ショルダーバッグが置かれた部屋の
彼女が学校用品以外の私物を持ち込むのは珍しい。そもそも休日の姿というだけでレアなので、この機会に調べさせてもらおう。
バッグのピンク色
子供の時にも思ったが、どうして『かわいい』の
という犬も食わない『かわいい』論議はともかく、私物の外見からは彼女がいわゆるギャル系なことが分かる。では、中身はどうなのか。化粧品あたりか、それとも見栄張ってコンドームとかもありそうだ。もしかしたらオレの想像の
バッグはおあつらえ向きに半開き。『どうぞ見て下さい』と言わんばかりだ。他人の
「中を見たら絶対に許さないからね」
ファスナーに手を掛けた瞬間、姫がこちらを向いた。
その顔はほぼ無表情。だが、瞳の色は間違いなく怒りだ。
これはどう考えてもダメなヤツだ。これ以上やったらオレの死期が早まるだけなのが目に見えている。
「し、しないさ……そんっ、そんなこと」
「
どもりながら取り
「ごめんなさいは……?」
普段の
「……え?」
「決まっているでしょ?悪いことしたら謝るの。学校で……ううん、幼稚園で教わらなかった?」
いつもみたいなふざけた
これは……今すぐにでもオレの人生を
「………………ごめんなさい、もうしません」
「はぁ……。当然だよね」
オレは一切の飾りっ気なしで即座に土下座。
そんな無様極まる姿を見たら満足したようで、姫の視線はすぐに漫画へと戻っていた。
怒りの炎も徐々に
とりあえず助かったようだ。
って、何でオレが謝らないといけないんだよ。
オレだって出来ればストーカーに
大体、全ての
「何よー、文句あるの~?」
オレの視線に気付いたのか、再び姫がこちらを向いて体を起こす。瞳はもう怒りの色ではなく、どちらかというと
「べ、別に……」
「あ~、分かった~。こんな子供にガチ土下座させられてイライラしてるんでしょ~?ずっとあたしに逆らえないんだもんね~」
くそ、お見通しかよ。
そうですよ、その通りですメスガキ姫様この野郎。
一発ひっぱたいてやろうか。
「はぁ、怖い顔しないでよー。お兄さんとはいい関係でいたいんだからさー」
言い返せなくて黙っていたら、姫が勝手に話を進めだした。
「はいはい、じゃあこれでチャラってことでいい?」
すとん、とよじれた白い布が姫の足元に落ちる。両足に
まさか。
そう思った時にはもう、遅かった。
「これ、見たら満足でしょ?」
姫がワンピースの
この子はオレとの関係維持のために、人目に触れさせてはいけない秘所を開帳した。それはつまり自分の体に価値があると理解しているということで、対価として見せたということ――
「やめろっ!!」
ばしんっ。
彼女の手ごとワンピースの裾をはたき、秘所に
突然はたかれたせいで姫は
対するオレも、自分がとった行動を理解出来ていなかった。考えるよりも先に手が出ていたからだ。
ただ、これだけは言える。
オレは姫が――こんな年端もいかぬ少女が身売りの
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