第211話 色なき風 🍃
晩夏の空にひときわ映える
――「空の
朝鮮半島に伝わる悲恋伝説に由来するとも、夏から秋まで、長いこと咲きつづけるからとも、または木登り上手な猿も苦手とするほど幹がつるつるしているからとも、名前の由来はいろいろですが、いずれにせよ、見た目とミスマッチなのです。(笑)
*
でも、いろいろあった8月も終わりに近づき、住宅街を色なき風が吹き始めると、この暑い夏を乗りきった百日紅は、
――そうか、あたしにはこの名前こそが最高だったのね!
なまじ綺麗と言われているだけに、たとえば「
――ふっと
完璧な美を誇りながら、そのうちにやって来る霜にはひとたまりもない百日紅は、積乱雲に代わって鰯雲が浮かび始めた空に、最後の花を精いっぱい咲かせています。
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