ポジティブシンキング童話&ゆるふわエッセイ 🦜

第31話 L-O-V-E 🌈

　神田川畔の桜並木もそろそろ咲き初めようかという爽やかな日曜日の朝、大都会の空に一群の雲があらわれたと思うと、その中から軽快な音楽が流れ始めました。

　ピアノ、シンセサイザー、チェロ、ヴァイオリン、コントラバス、トランペット、クラリネット、サックス、オーボエ、フルート、ティンパニー、ボンゴ、マラカス、エレキギター、ベース、ドラムス、それにマリンバやアコーディン……楽器が勢ぞろいで奏でているのは、NAT・KING・COLEのヒット曲『L-O-V-E』です。

　神々しいほどの朝日に照らされて、虹色のシャボン玉のようになった雲の群れを前に、真新しい燕尾服（えんびふく）でタクトを振っているのは、ひと足早く飛来した初燕（はつつばめ）さん。

　　　　　　　　　　　　　　　　🐥

　歩いていた人たちはいっせいに足を止め、空を見上げて一緒に歌い出しました。

　L is for the way you look at me

　O is for the only one I see

　V is very , very extraordinary

　E is even more than anyone that you adore can

　この世に愛ほどすばらしいものはありません。

　いま辛い人も愛があれば幸せになれるのです。

　Love is all that I can give to you

　Love is more than just a game for two

　Two in love can make it, take my heart and please don't break it

　Love was made for me and you

　それぞれの大切な人を思いながらの歌声は、東京中に広がって行きました。

　いえ、東京の空から東へ西へ北へ南へ、日本中に幸せが広がって行きます。