第8話 小鳥の恋 🐤




 

 薄桃色の小さな花✿は、日当たりのいい土手で、ひっそりと咲いていました。


 何百、何千と同じ花ばなが群れ咲くなか、その花が少しだけ変わっているのは、人一倍、いえ、花一倍ファンキーで、いつもニコニコ笑っていること。(*´▽`*)


 ほかの花たちは「やあね、気安く近寄らないでくれる? このきれいなあたしがどこの馬の骨かわからない小鳥なんぞの相手になってたまるもんですか」「あら、あたしこそ花の中の花なんですから、さっさとあっちへ飛んで行ってちょうだい」というふうでしたが、その花だけは「小鳥さん、こんにちは。いい天気ね」可憐な花びらがどうにかなりはしないかと心配になるほどの笑顔で迎えてくれるのです。

    


                💖

 

 

 夏が過ぎ、秋が去り、ある朝、前触れもなしに霜が降りると、あんなに誇り高く咲き競っていた花たちは、いっせいに萎れ、たちまち茶色に枯れてしまいました。


 でも、ふしぎなことに、小鳥が恋をしたあの可憐な花だけは、花びらの先が少し縮んだだけで、相変わらず薄桃色の灯りを、ぽちっと小さく点しつづけています。


 木枯しにさらされたり、どっかんと大雪に見舞われたり、花が冬の試練に耐えることができたのは「ぼくに羽があることが申し訳ないよ。春までの辛抱だからね」と言ってくれる小鳥が、ずっと傍で励ましつづけてくれたからにほかなりません。

 

 

                🌄

 

 

 そして、ついに待ちに待った春がやって来ました。あたりの景色は茶色からさみどりに一変し、枯草から新芽を出した花たちも、いっせいに蕾を開き始めました。


 あの花、ですか?ヾ(@⌒―⌒@)ノ

 もちろん、元気いっぱいですとも。


 苦しい季節を共に乗り越え、ひときわ絆が深まった恋人の小鳥に「なんだか去年の君より紅色が濃くなったみたいだよ」と言われ、うれしそうに笑っています。🌼

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