第86話~墓参り~
エフィーと3度目の契約上書きを済ませた俺は、2日後に迫っていた諸星組合初の迷宮攻略、その不安を解消するために病院へと来ていた。
「ふふ、今日もまた一段と可愛い寝顔だね、水葉……」
俺は今日も眠りにつく水葉に語りかける。看護師さんの手入れがちゃんとされているからか、着ている服さえ違えば本当に寝ているだけのようだ。
「兄さんな、諸星組合って所に所属したんだ。結構な大企業なんだぞ? これでもっともっとお金を稼いで、必ず目覚めさせてやるからな」
俺は椅子に座り水葉の手を握りながら、改めてそう宣言する。何も反応は返ってこない……。
「ふむ、水葉よ。空のことは我に任せよ。ちゃんと面倒を見てやるのじゃ!」
ヒョコッと胸ポケットから飛び出て来たエフィーも乗り出してきた。……ははっ、元気つけようとしてくれてるのかな?
「ともかく……2日後には諸星組合での初の迷宮攻略があるんだ。その選抜メンバーに選ばれたからには、必ず活躍して攻略してみせるから待っていてくれよ?」
「うむ、今の主人ならば万が一にもC級ごときで怪我をする事もないじゃろう!」
とエフィーも太鼓判を押してくれる。でも、契約する前で烈火さん曰くB級下位レベルだったんだ。今は最低でも、B級上位くらいにはなっていると思う。
それに氷花さん、
「それじゃあ水葉、今度来る時は迷宮攻略を終わらせてからだな。元気にしてろよ?」
最後に頭を撫でて、俺はその温もりをしっかりと確かめながら病室を後にした。
「ふむ、これで用事は終わりじゃな! この後はどうするつもりかの? 2日後に怪我をされても困るからと、迷宮に行く事もできんのじゃろ?」
「ん? ……そうだね。丁度話題にも出たし、行っておいた方がいい場所があるんだ」
俺はそう言って、とある場所へと向かう。道中、駅の近くで花を買う。
「ふむ、人があまり居ないところに向かっておるのかの? どこに向かっておるのじゃ?」
「……両親と……師匠の、お墓だよ」
エフィーが不思議そうな表情で問いかけて来たので、俺は向かっている場所を答える。
***
墓地があるのは少しばかり団地が建っているだけで閑散とした山の奥だ。花をエフィーに預け、バケツに水を汲んで両親の墓へと向かう。
汚れていたのできれいに掃除。水を掛けて花を取り替え、最後に線香とお参りを済ませる。エフィーもお祈りをする。見様見真似だろうが、その行動が嬉しかった。
「父さん、母さん……水葉だけは、俺が必ず守るからね」
そして次に師匠の墓へと向かう。こちらも両親同様に墓の手入れなどを済ませて、コンビニで買ったハンバーグを添える。師匠、これ好きだったからな。
「ん? どうしたエフィー?」
エフィーはなんだかソワソワと落ち着きのない様子を見せていた。
「ふむ……おそらく、目の前にハンバーグがあるからじゃな!」
何事かと心配した俺が馬鹿だった。そういえばエフィーもハンバーグ好きだったな。翔馬も好きだって言ってたし……。まぁ良いか。
「お久しぶりです師匠。5年前、あなたに助けてもらわなきゃ今頃どうなっていたか……」
頭を下げて、そんな挨拶から入る。5年前に起こった迷宮崩壊。それに巻き込まれて両親は亡くなり、水葉も寝たきりになってしまった。
そして俺は発現者として目覚め、師匠である江部一香さんにその後の生活などの面倒を見てくれたり、探索者になるための技術を教えてもらったりもした。
「死ぬ前に、あなたの教えは俺が引き継ぐなんて格好良いこと言ってましたけど、それは訂正します。……氷花さんにも教えていたなんて聞いて無いですよ?」
あれは全くもって驚いた。俺、師匠の唯一の弟子を一応誇りに思ってたのに……。これもまぁ良いか。
「俺は今、ここにいるエフィーと共に強くなりました。まだまだS級には及ばないですが、いずれは超えて見せます。そして……水葉を救ってみせます! だから……師匠も、俺のことを見ていてくださいね?」
俺は人目が無いので少女姿となったエフィーの肩を抱き寄せてそう告げる。
「はっ、主人のことを鍛えてくれたことには感謝じゃ。だが、強くすることは我に任せておくのじゃな!」
エフィーがバッと手を前に伸ばして高らかに言い放つ。エフィーが師匠の代わりって言われるのはすごく違和感があるが、まぁ悪い気はしないな。
「それよりも主人よ、このハンバーグはこの後どうするつもりかの?」
エフィーが口から涎を垂らして尋ねてきた。お前、本当に台無しだよな……。ちなみに御供物したハンバーグはエフィーの夕食となった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字脱字多くてごめんね〜!特に最初当たり酷いと思う!でも自分、結構な遅筆だから直す暇あるなら先に物語進めるつもりです!もし報告してくたらその都度直しますが!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます