第59話~試験スタート~
さてさて、とりあえず試験内容をまとめよう。
集められた参加者たちは3人1チームを組み、サバイバルを開始する。山の中を縦横無尽に駆け回り、同じ参加者を倒すことでポイントが手に入る。
これが今回の試験内容だ。そして集められた300人100チームのうち、合格できる探索者は最大で30人。簡単に考えると上位10チームだが、詳細は少し違う。
まず、上位10チームに入った3人の中から確定で1人は合格できる。だが、残りの2人は不確定らしい。これは合格した1人の圧倒的な力による可能性があるからだ。
こうして10人が決まり、残りの20人は試験の主催者である企業側が独自で選ぶらしい。初期の方にやられたとしても、こちらの方で挽回できる可能性がある。
こんなもので良いだろう。とりあえず活躍して最後まで残れば良いだけだ。それよりも……。
「それにしても……私たち3人が組むとは思わなかったよ。いや、見知った仲だしうれしいんだけどね」
北垣さんは最初、口を軽く開けて驚いていたな。そして複雑そうな顔をしながら話していた。
「空君、これって翔馬さんのコネですか?」
琴香さんが顔を近づけて口元を手で隠しながら、怪しげに尋ねてくる。
「う〜ん、俺と琴香さんだけなら分かるけど……でも、北垣さんもいるとなると違うと思う」
こんなチームを意図的に組みそうなのは……大本さんぐらいしか思いつかないな。彼なら権力使ってこれぐらいできそうだ。でもこんなところにいる訳ないし……。
それにどう考えてもチームのバランスがおかしい。役割的には俺が何もなし、北垣さんがパワー系、琴香さんが回復系と良いだろう。
でも、俺はF級だ。2人はD級。俺が組む相手としては、正直等級が低すぎる。俺は表面上、最弱に位置するF級探索者なんだから……。てっきり反対に位置するA級の綾辻氷花さんと組まされると考えていた。
普通に考えて、バランスよくと宣言した翔馬の父親であり、社長の
まぁ良いか。知り合いと組めたんだし、特に不都合はない。
『それではこれより、試験を開始します。5・4・3・2・1・スタートです』
無機質な機械音の声を開始の合図として、俺たちは一斉にスタートを切った。
***
「ここ、ですか……」
諸星社の探索者試験が行われる会場に着いた私は、職員に誘導されて試験を監視するために作られた簡易的な住居に案内される。
この住居から私たちのような立場の人間は試験を見守るのだ。
「あ、お久しぶりですね、
「あなたは……お久しぶりですね、
突然だが私に話しかけてきた大地さんに軽く挨拶を返す。彼の名前は
ここの社長である諸星社長も、他の三大大型組合とできる限り摩擦が起きないよう、一番遠い地域の組合から引き抜いているあたり、きちんと考えているようだ。
「ここには視察で来たんですか?」
「えぇ、民間の組合と言うものを、その目で確かめてこいとの事です」
「そして落ちた中で有望そうな人を、そちらの組合の方で引き取ると言った形ですね?」
「まぁ。ですがここにいる低等級の方々のうち殆どが、既にうちに登録をしているでしょうが」
「確かに……」
私と大地さんは互いに椅子に座り対面しながらそんな会話を繰り広げる。
「さぁこっちだよエフィーちゃん」
「うむ! ここで主人の活躍が見れるのじゃな!」
そんな
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