第46話~さすがはロリBB──以降、彼の姿を見たものはいない~

 俺の胸ポケットから出てきて自己紹介をしたエフィー。琴香さんはプルプルと震えている。未知との遭遇で驚いたのかな? まぁ、俺も死ぬ寸前じゃなかったらそうなってたかもな!



「か、か、可愛いですぅ〜〜〜っ!!!!!」 


「うにゃあぁぁぁっ!?」



 あ、琴香さんが俺もびっくりの速さでエフィーを回収し、そのまま頬擦りなどで欲望のままに蹂躙していく。……琴香さんは可愛いもの好きと、メモメモ。


 ……でもファンタジー映画が好きだった気が……あ、確か姫様役の人、めっちゃ美人だった気がする。なるほど、あの人目当てだったのか……?



「そ、空君! この子はなんなんですかっ? 可愛すぎですっ! 欲しいです!」



 その意見には全面的に賛成だが、琴香さんも可愛いさでは負けてないな。あとエフィーはあげません。



「その子はエフィー、精霊です」


「精霊! ふわぁ、この子が精霊さんなんですねっ! よろしくエフィーちゃん!」


「我の名前はエフィタルシュタインじゃ! その愛称は主人と翔馬にしか許しておらん! と言うか良い加減に離さんかぁ!」



 エフィーが怒った。琴香さんには悪いが、さすがに可哀想なので一旦お預けにした。

 


「はふ〜、さいっこうに堪能させてもらいました〜」


「主人! 我はこの娘嫌いじゃ!」



 エフィーがキレ気味にフンッと言いながらそっぽを向いてしまった。一方、琴香さんはなんかツヤツヤしてる。



「琴香さん、さっきも言いましたがエフィーは精霊です。しかも、精霊を束ねていた存在の元精霊王。……琴香さんは、エフィーの力で精霊として生き返ったんです。もう、人間ではありません」


「…………はぁ、それで何か問題でもあるんですか?」



 琴香さんがノープロブレムでしょう? と言った表情で見つめてくる。



「いやいや、人間をやめてるんですよ?」


「でも、大した違和感もなければ見た目も変わってませんよ? 何か変わったところとかあります?」



 琴香さんがその場でクルリと一回転してから尋ねてくる。



「それは……エフィー、ヘルプミー!」


「ふんっ、なのじゃ! 我は今気分が悪い!」


「明日ハンバーグにしようと思うんだけど」


「さて、何が知りたいのじゃ?」



 速すぎる変わり身の技だ。



「琴香さんが精霊になって変わったことって何?」


「ふむ……そうじゃの。特に違いはないぞ? 強いて言えば、琴香は癒しの精霊として生まれ変わってある。回復力が上がっているかもしれんの」


「それだと実践で使わなきゃ効果量も分からないですね〜」



 ふむ、今度誰かを回復した際の効果を聞こう。



「あっ!? エフィーちゃんエフィーちゃん!」


「我はエフィタルシュタインじゃ!」


「だ、大事な質問がありましたっ! 教えてください!」


「お主、我の話わざと聞き流しているな!?」



 う〜ん、エフィーと琴香さんの相性がちょっと悪い気がする……。



「私の体って、こ、子供とかってできるんですか?」



 なるほど、確かにそれは重要だ。エフィーは精霊だからご飯も娯楽としての効果以外は無いと言っていた。


 人に備わっている生理現象などが、琴香さんにも存在するのかどうか心配だ。



「子供じゃと? …………なるほどの。安心せい、お主なら人間とも精霊とも子を作ることは出来るじゃろう」


「ほ、本当なの? ありがとうエフィーちゃ〜んっ!」



 琴香さんが感極まってエフィーに抱きつく。……琴香さん、ちょっと泣いてないか? それほど嬉しかったのだろうか……?


 子供、か。俺には多分、一生縁のない話だろうな。て言うかうちには何百年も歳だけ重ねた精神年齢10歳くらいの子供がいるようなもんか……。



「むぅ……まぁ、抱きついていることについては不問にしよう。子を成すことは生き物としての生存本能じゃからの。今回だけは多めに見てやるのじゃ」



 エフィーにも琴香さんの想いが通じたのだろう。小さな手で琴香さんの頭を撫でる。その姿は子供だったが、母親のように大きかった……。さすがはロリババーー。



「主人、今失礼なことを考えたじゃろう?」


「…………いいや?」



 怖いぃぃぃぃっ!? 怖いんだけどエフィー!? その笑顔なに? 笑顔なのに怖いよ? どう言うこと?


 その後、エフィーは琴香さんが落ち着くまで頭を撫で続けた。

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