第26話 ヒロインは勘違いに気がつく
「相変わらずシャーロット嬢は勇ましいね」
「お褒めいただき、光栄ですわ」
「君がついてるならエリは安心だ」
クスクス笑いを抑えられていないジョジュア様はいかにも楽しそうにしている。
フランシス様はシャーロット様がいるからか、殿下とシャーロット様からは少し距離を取っている。
「でもね、カレンを入れるのは確定事項なんだ」
殿下より高位の人の決定?それは国王陛下?
なぜそんな人がただの平民の学園での動きを気にするのだろう。
物語の主人公は知らないところで、何かが動いていて、最終的には乗り越えてハッピーになるのが既定路線。でも、不確定さをできるだけ取り除きたい本能には抗えない。
「それはそれは……」
シャーロット様が扇で口元を覆って、目を細める。
「わたしたちが知って大丈夫なことですか?」
「ミラー、そしてカーターは気がついていただろう?」
「薄々とは」
「カレンの力は今代にとても珍しい。あらゆる者たちが狙うはずだ。他国に取られぬよう守って欲しい。もちろん、エリもフランも。良いね?」
神妙に頷く彼らに完全に置いていかれた。
私の珍しい力ってなに?もしかして子供だましの精霊さんお願いのことを言ってるつもり?!そんなの小さい子供がお母さんにイタズラ内緒だから、おやつあげるよと同じ発想よ!
「必ず守るからカレンは気にせず学園に通ってくれたら良いよ」
私の手を取り妖しく微笑みながらいうジョジュア様に、完全なる勘違いを指摘できなかった。
なにが特別な力って言ってないし、私は分からないときは微笑むって習ったの、仕方ないわね!教え通りに、曖昧に微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます