第24話 ヒロインは生徒会の仕事をする

これが学園の生徒会専用の会議室とは恐ろしい。村で一番大きな配達所兼村役場よりも広い、そして、煌びやかでお高そうだ。



「わあ」

「さすが、王族がはいる生徒会だけある」

「ほら、入口で止まるな」



好き好きに感想を述べていた私とローワンの後ろからアニーが深いため息をつく。



「確かに学園でコネを作ろうと思っていたが、ここまでの想定はまったくなかったな」

「あぁ、最高だよ」



アニーとローワンの実地でのマナー指導と、よく分からない器具の使い方を学んでいたら、エリオット様が入ってこられた。



「もう来てたのですね。……そうだ、カレン嬢。この間のお茶会で、フランを守ってくれてありがとう。表立って守れないのをいつも悔しく思っていたのです」

「そんな、お礼なんて、むしろシャーロット様に失礼をしてしまって申し訳ありませんでした」

「シャーロット嬢にも良い経験になったでしょう。信心深いのは良いことですが、彼女は冷静な判断を欠くことのが悪い癖でした」



ため息をつくエリオット様の目の下にはくっきりと隈ができている。顔色を誤魔化すためか、薄らと粉を叩いているのに見えてしまう辺りで、疲労度合いが伺える。



「それで?今日はなにを?」

「私と一緒に残りの生徒会メンバーの面接をしてもらいます」

「え?」

「それであの魔道具か」

「ご明察ですね。カーター商会から購入した魔道具を使って、ジョジュア殿下とフランは隣の部屋にいます。奥に生徒会役員の個室があるので、そこに待機しています。まあ、細かい部屋割りについては今度説明しましょう」



アニーが指さしたのは変哲のない絵で、犬がこっちを向いている。裏側に同じように額縁が下がっていて、壁がないのと同じように部屋を見れるらしい。


うう、これから気をつけよう。



「私たちを使って、階級意識が強い貴族を弾くためですね?」

「さすがはローワン・ミラー。君はとても優秀な商人と聞いているよ」

「お相手は?」

「子爵以下の貴族で、殆どがシャーロットのご学友だよ」



微笑みあっていた2人はそれで会話が成立したらしく、エリオット様の指示で入ってきた学園の裏方員により面接場所が整えられた。

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