第23話 ヒロインは王子様のご指名

私が学校っぽい!と思っている掲示板に大きなポスターが張り出されていた。



「生徒会募集中?これはまた……」

「形式上、ここは平等な学校だからな」



皮肉のきいた会話をローワンとアニーが繰り広げる。あれ以降も他の人がいる前でのローワンは私も田舎からでてきた真面目ないい子として扱ってくれる。


そんな呑気な会話をしていたら、一気に人垣が割れた。私たちも倣うように避けようと思ったが、どうやら私たちが行先らしい。


高位の貴族だろうと思った予想は違わず、急遽作られた道の先に居たのはジョジュア様たちだ。



「生徒会メンバーは募集もするけど、指名もできてね。私は既に、エリとフラン、マリアを指名している。そして、君たちも誘おうと思って、どう、生徒会に興味はない?カレン、もちろんカーターとミラーも一緒で構わないよ」



一人ではなく集団で取り込みに来た。



「カレンは入学後の試験成績もすべて5位以内。カーターとミラーもとても優秀と聞いているよ」

「恐れ入ります」



ローワンがいうには、この3人に気に入られて第二夫人以降または愛妾にしてもらうか。マリアローザ様に気に入られて、フローレス公爵家傘下の有望貴族を紹介してもらうのが良いらしい。

マリアローザ様からの紹介は予想の外だったけど、ローワンから提案されてみればそちらの方が危険がないと納得できた。


だから、生徒会の話は渡り船だけど、喜んでというのは体裁が宜しくない。ジョジュア様が来ているから断るのは不可能だけどね。



「私のような世間知らずの1年生で良いのでしょうか……。もっと学校に詳しい先輩たちの方が学校を良くしてくださると思います」



とても不安だわ!を表現するために少しローワンによりながら、胸の前で両手を握る。



「3人に依頼したいのは、私と……特にフランと一緒にやる行事をお願いしたいと考えています。そう怖がらずとも、難しいことは先輩である私に任せてください」



予想はしていたけど、容赦なくエリオット様に退路を塞がれた。



「ご迷惑をお掛けしてしまいと思いますが、よろしくお願いします!」



スカートの前でギュッと拳を握って、話しかけられた時点で確定していた返答をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る