第22話 ヒロインは親友を得る
そんなこんなで、寮に戻るとローワンがロビーのソファで待っていてくれた。
「いやー、今日のシャーロット様は絶好調だったね」
「私、失礼しちゃってなかったかしら」
「まあ、失礼っちゃ失礼だけど、今どき少ない精霊と会話できる魔法使いに頭おかしいと言っちゃったシャーロット様が圧倒的に不利だったからね。大丈夫大丈夫」
村では割とみんな普通にしていたけど、これも黙っておくのが良いものだろう。
「マリアローザ様が、カレンが愛妾になるのを認める発言もしたし、大波乱だね」
「え?愛妾?」
「悪くないわってジョジュア様の前で言っていただろう?これからの成長に期待できるなら、許してあげようってわけ。マリアローザ様は発言の重さを知ってる方だよ」
愛妾って、いや、マリアローザ様公認なら殺されることはないけど、でも、私の望みとはちょっと違う。
「でも、その直後にフランシス様を庇って、精霊使いなのを証明してみせた。フランシス様も貴族として見た目に瑕疵があるから、本気で取り込もうとして来るだろうし……」
そんなドロドロの毎日は望んでない!
頭を抱えたくなったところで、私をじっと見つめてくるローワンに気がついた。
「ねえ、カレンはどうして猫を被っているの?」
「え?」
可愛くて真面目な田舎から出たてのヒロインにはなり切れてなかったってこと?いや、カマかけてるだけかもしれない。
速く鳴る心音を抑え込んで、不思議そうに問いかけた。
「猫をかぶる?そんなに余裕がありそうに見えるのかな?」
「余裕があるというか、アニーや俺は商会があるから人格を装うのはおかしくない。でも、カレンにそういったしがらみは無い。普通に過ごしても、充分いい子だと思うよ?
俺は小さい頃から人の機微を読んで商売をしてきているから、演技してるかどうかぐらい見分けられるよ。カレンはいつも演技してる、たまには力を抜いた方が良いよ」
「それは……」
「俺はカレンと親友になりたいんだけど、ダメ?」
そうね、一人、一人ぐらいわかっていて友だちをしてくれる仲間がいてくれた方が良いかもしれない。
「……私ね、貴族の第二夫人を目指してるの」
「なるほど、それは面白そうだ。俺は独立した商会を立ち上げるのが目標だ」
それを聞いてニヤリと笑ったローワンはいつもよりも年相応に見えた
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