〈10〉その時を待つ
各自の持ち場は次のとおり。
メイナードは、プラントのメインコントロール室にスタンバイ。
私と教授はチャリオットに乗り込み、常にタマリクスと連絡しながらミッションを進めるが、通信手段としてはバーブズ氏にもらったUDを使用する。
そして、最も危険な現場へ向かう私と教授には、〈重強化スーツ〉というアイテムが支給された。これを着用していれば、かなりの高温や低温、低気圧に対応でき、ヘッドパーツを閉じれば、宇宙に投げ出されても数時間は耐えられるそうだ。かなりの衝撃に耐えられ、設定によっては自分の力を増幅でき、通常の六千倍ほどの力を出せる。
これはもちろん、パワードスーツの第一人者セオが開発したものだ。
「うちの製品の中でも、特に保護能力に優れたタイプです」とセオ。
このスーツの脱着は、とても簡単。バックパックのような形の器具を背負ってスイッチを入れると、それが変形して体を覆い、自動的にフィット。スーツを脱ぐときも、ロックを解除すれば一瞬でコンパクトに折りたたまれ、バックパックに収納される。
「あと、これ、オプションで〈ワイヤーランチャー〉という機能を付けておきました。ワイヤーの先端部分には、自由に刺したり抜いたりできるアンカーがあります。使い方は、例のクモのヒーローみたいな感じですね」
ランチャーは腕の部分にあり、ワイヤーは最大で五百メートルも伸びるが、ネット技術によって
オーソン王子は、なぜか自分の開発した巨大な空中戦艦を手配し、いつでも発進できる状態で、何隻もプラント内にスタンバイさせている。
オーソン王子いわく「タマに頼まれたんだよ。必要になるかもしれないってさ」とのこと。
そしてキャンディスの仕事はもう終わっている。――空中デバイスと、その中にあるアプリを破壊するための
ミサイルは一発で十分に効力を発揮するが、予備も含めて合計六発が積み込まれている。
最後にキャンディスから教授に、今回のミッションのカギともいえる、重要なアイテムが渡された。――それは一見、ごく普通のハンドガンに見える。
教授は手際よくハンドガンを開け、中の弾を確認。
――この弾には、ムストウを消去するためのプログラムが入っている。つまりスチュアートの体内にあるムストウの性格と記憶を再現するアプリを削除するための
つまりこの銃でムストウを撃つことが、今回のミッションのもう一つの目標だ。
「ウィルは分かってるから、ジョブ君のために言うんだけどね――
準備が完了し、私と教授はチャリオットの中へ。
計器類を確認し、レバーやスロットルなどの最終確認をしている教授の後ろで――私は特にすることがなく、
タマからの音声通信が入る。
「全員が準備完了。――エネルギー照射を開始する時刻は、九時十三分です。チャリオットは、その十秒前に発進してください」
――あと、約十分後か。
十分間も緊張が続くのは、なかなかつらい。
チャリオットの準備は完了し、いつでも発進できる状態だ。
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