第8話 パンツの刑

 うららの服を全て揃えた頃には、陽が高く登っていた。


「うらー」


 全て全開、生まれたままの姿上等だったうららが衣服を身に着けてた。

 うららに着させたのは以下の通り。

『麻のシャツ(女性用)』

『麻のスカート』

『麻のパンツ(女性用)』

 肌色成分は多めながらも、致命的なところは全部隠れている。

『麻のシャツ(女性用)』は、シャツっていうかただのスポーツブラだった。

 またはへそ出しワンピース?

 白い肩紐と白い乳バンド。

 シャツってなんだっけ? とは思うのの、ぷるんぷるんしたのが丸見えじゃないだけマシである。

 よく見るとなんかポッチが見えるような気もする。

 でも仕方ない。

 なぜなら麻のブラジャーみたいなものはなかったのだから。

 もっとよく探せばあるかもなのだが、俺はポッチが好きなのだ。

 だから仕方ない。

 うららに『麻のシャツ(女性用)』を着せる際に、結構セクハラをしてしまった。

 それも仕方ない。


「どうだ? その服、気に入ってくれたかな?」


「うー?」


 そんな事を聞いてみると、うららは微妙な顔をしていた。

 あんまり喜んでいる感じではない。

 たしかにシンプルすぎて可愛らさとかおしゃれさとかはないかもしれない。

 でも、エロさはある(スポブラ好き)。


「うらー」


 うららは首を捻りながら、着心地を確かめていた。

 とてとてと歩き回ってみたり、ぴょんぴょんとジャンプしてみたり。

 ジャンプしている時、シャツからばるんと何かが溢れたのは見なかったことにしよう。

 とてとて。

 とてちて。


「うらー?」


 歩き回るうらら。

 その足取りはどうもおぼつかない。

 しかし、俺は満足していた。

 中年が午前中をかけて、少女の服を作ったのだ。

 額に汗を浮かべて、必死に草を集めた。

 俺は一体何をしているのだろう。

 そんな気もするが、全てはうららに丸出しをやめさせて、怒りのエレファントを沈めるため。

 スポブラに短めのスカート。

 たまにパンチラ。

 なぜかエレファントはぞうさんには戻らずに、怒りのアフガンみたいになっているが。

 結構な充足感を覚えていた。

 36年の人生の中で、俺が生み出した最も有意義なものだと思う。

 スポブラもスカートもいいが、やっぱりパンツ。

 パンツのおかげでR18から外れることが出来た。

 これで天国の両親に顔向けが出来るというものである。

 ふふふ。

 ちなみに作ったのはうららの服だけである。

 俺はZENRAのままだよ☆

 おっさんなんてどうでもいいのだ。


「うらー」


 とてちてと歩きまわっていたうららは、こてんと首をかしげていた。

 なんか気に入らないんだろうか。

 うららはぺたんと地面に座る。

 そしていそいそと。


「うららー!」


 パンツを脱いでいた。

 ええ!?

 何してんの、この子!?


「うら!」


 パンツをポイして、てててと走り回るうらら。

 その表情は、解き放たれたようにスッキリしていた。

 えええ!?


「いや、穿けよ」


 走り回るうららの腕を掴んで捕まえる。


「う、うらー!?」


 抵抗するうららに無理やりパンツを穿かせた。


「う、うう……」


 再びパンツを装着したうららは、よろよろと歩き出す。

 その表情は苦しそうだった。

 パンツ穿くと歩きにくいらしい。

 まって。

 それどういう理屈??


「う、うーーー!!」


 耐えかねたうららは、穿いたままのパンツを強引に引っ張った。

 ビリリと破れるパンツ。

 ああっ!?

 俺の汗と涙の結晶パンツが!?


「うらら!!!」


 破れたパンツを丸めて、地面にポイするうらら。

 そのままズダンズダンと踏みつけている。

 よっぽど嫌だったらしい。


「うらー!」


 開放されて、ストレスの発散も終わったうららは、笑顔で額の汗をぬぐっていた。

 すげえスッキリした顔をしていた。

 まあ、そんなに嫌なら無理強いすることもないか。

 かろうじて隠すところは隠せているし。

 ジャンプしたら色々アウトだが。

 R18ではないと、ギリギリ言えるかもしれない。

 R17くらいだろう。

 天国の両親も許してくれるはずだ。


「うら……うらら……?」


 パンツから開放されたうららは、今度はスポブラが気になるようで、胸元をぱふぱふしていた。

 微妙な顔で。

 だがそれはいけない。


「お前、それ取ったらもう一度パンツ穿かせるからな?」


「うら!? うらー!!」


 脅したら、怯えて泣きついてきた。

 パンツの刑は有効らしい。

 パンツの刑ってなんだよ。


 その後は、その辺にいたうりぼーを捕まえて昼食を摂った。

 午後はとりあえず自分の服を作ることにした。

 俺の服とか、興味が一切沸かない。

 うららに作った服の男性版で、白いシャツと白いズボンだった。

 3日ぶりくらいに服を着た。

 エレファントともしばらくお別れである。


「うらー」


 うららはあからさまにホッとした顔をしていた。

 え、そんなに怖かったの?

 普段は優しいゾウさんなのに。


 そんなわけで、俺達の生活は少し文明的になったのだった。

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