第14話 スーパードクターSSK (前編)
これは実話です。
私が先日入院した時に出会った、衝撃的なドクターSSKのお話です。
普段と違い、心霊系ではないのですが、ある意味非常に恐ろしいので、どうかお楽しみください。
日曜日に「翔んで埼玉2」を妻と見に行った時、オスカルが登場した辺りから突然腹部に激痛が走った。
まるで腹を下していて、一番痛い時のような痛みが続くのだが、腹を下している感じは一切ない。
一時的な物かと、隣で笑いながら映画を楽しんでいる妻を心配させないように、必死に痛みと闘っていた。映画見る余裕など正直なかった。
その後、状況を知った妻が心配するのだが、日曜なので病院に行かず、ずっと激痛と闘ってた。
痛みで一睡も出来ず。
そして月曜日、妻に休みを取ってもらって病院に連れて行って貰った。
しかし、そこでは処置できないため、近くの病院に紹介状を書くと言って、連絡を取って手配してくれる流れとなった。
そして、地域で一番大きく中心的な医療センターに移った。
もう歩くのもしんどく、座っていられないくらいの状態で、車いすで消化器内科の場所に運ばれる。看護師は待合室から直ぐに処置室のベッドに寝かせてくれた。
それから待つ事どれくらいか。
何か知らない物が突然点滴される。血を抜かれる。
その後しばらく寝かされているが、痛みは全く治まらない。
朦朧としていたら、小さな色黒のおじさんが何か言ってきた。よく分からないが「痛い?」とかなんとか。
何か言うといなくなった。
それからCTスキャンをすることを看護師が告げる。ただ、この日は混んでいるらしく、いくら待っても呼ばれない。
看護師が何度も問い合わせてくれるが、そこから数時間痛いまま。
「痛み止めとか出来ないんですか?」
何とか声を振り絞っていって見た。しかし、やはりCTを取って医者が診察をしてからでなければ処方できないとのこと。
この間に妻は、色々手続きに走り回ってくれ、入院の荷物とかもまとめたり働いてくれていた。
時々LINEで連絡しながら。
医療センターに到着したのが午前9時頃。そして、放置されること5時間。14時頃のCTを取り、また、処置室に戻って寝かせられる。
それから入院が決まり、病室の準備が出来るまで放置。
15時になり、病室の準備が出来たので、病室に運び込まれる。
余裕がないので、この時は異常さに気づかない。
部屋に運ばれて、ベッドに寝かせられ、看護師が入院の注意事項を教えてくるが、痛くて頭に何も入ってこない。
それが終わると看護師は出て行った。
痛い。ひたすらに痛いのが続いている。
これは今夜も眠れないだろう。
・・・・・・いや、おかしくないか?
今、刺さっている点滴何?さっきまでのと同じのだよなぁ。
痛み止めは診察されないと処方されないからだ。
あれ?診察されてなくないか?
大部屋だったので、他の人たちは食事が運ばれてくる。
妻は最初の病院で「膵炎でしょう」と言われていたので、移動中の車の中で「絶食だよ。水も飲んじゃダメ」って言っていたから自分のは無いのかと諦めるが、前日の昼にドーナツ2つ食べただけだったので腹が鳴る。鳴る度に激痛が走る。
病院では静かにしなければいけないので、必死に声を出さないようにするが、時々「ああ~~」と漏らしてしまう。申し訳ない。
だが、考えてもみれば、私はこの痛みについて、何の説明もされていなければ、治療の方法も、方針も、流れも、見通しも、そもそも病気の原因も知らない。
知らないで、入院になり、病室のベッドの上で苦痛にあえいでいるのだ。
寝返りも出来ない。体勢を変えると、ととてつもなく痛いからだ。
その時私は、私が待たされている間に妻が説明されているのだと思っていたので、後で教えてくれるだろうと思っていた。
ところが、後で聞いた話では「急性膵炎で入院」以外は何も聞かされていなく、逆に私がちゃんと診察受けて説明されたのだろうと思っていたとのこと。
まあ、普通は説明されていなければおかしいのだからそうなる。
だが、妻が荷物や、市役所やらを東奔西走している間に、私は病棟に運ばれ、病棟には家族は入ることが出来なく、直接会う機会を失ってしまったのだ。
妻から荷物が届いたと、看護師が置いていく。
「あ、あの。痛いんですが・・・・・・」
「一番痛いのが10として、いまどのくらい?」
看護師が良く言う奴です。
これって意味あります?
一番痛いのって何?
殴られたの?針が刺さったの?ナイフで腹えぐられたの?腕を切り落とされたの?
ここでは書けない拷問方法で痛めつけられたの?
ほとんどの人は最初の二個ぐらいしか経験したこと無いですよね?でも、想像力のある人になるほど、「一番痛い」の度合いが大きく異なる。
経験があるのは急所を強打した時。
それが10だとすると、私が人生で普通に生きてきた中での痛みの度合いは、大抵が「1」か「2」になる。
あの痛みが、1時間も変化せずに続いたら、発狂するか死んでしまうと思う。
この質問、「今の痛みを例えると、何の痛みと同じくらい?」で言われれば、「腹痛の一番痛い時と同じ」と答えられる。そうすればたいていの人はどの位の痛みか想像できる。
それを第一の質問として、次の質問に移る。
「今回の症状の中で、一番痛い状態が10として、今は?」と尋ねられれば、非常に返答は簡単だ。
この方が良くないかな?
まあ、話が逸れたが、その看護師に「・・・・・・7?」と適当に答えた。全く意味の無いやり取りであると思う。
それを聞いた看護師は「しばらくお待ちください」と言って出て行った。
で、30分ほど待ったら、ようやく点滴を持ってくる。
「何かあったらナースコールで」
と言って出て行こうとするので、薬が効きにくい私は不安になって尋ねた。
「その痛み止めはどの位効きます?」
「結構強い痛み止めです」
わからん。
また去って行こうとするので、「あの」とまた呼び止める。
軽くため息。
「次の痛み止めまで、どの位時間を空けないと行けないとかあります?」
「6時間ですね」
去って行った。
点滴が効き始めたのが19時。完全に効いたのは19時半。
ようやく一息着けたが、痛みが無くなったわけでは無く、一息着けるぐらいには軽くなっただけで、動くとひどく痛む。 妻とのLINE連絡をして、目を閉じて、少しだけ眠ることが出来た。
激しい痛みで目が覚める。
21時。
痛み止めの点滴を繋いだのが18時後半。
つまり2時間ちょっとしか点滴は効かなかった。
と言う事は後4時間は耐えないと行けないのか?!
ひたすらに痛みに耐えて、深夜1時にナースコール。そして、点滴。効くまでに時間が掛かる。
痛みが和らいで、ようやく眠りに就けた。
が、やはり1時間ちょっとで目が覚める。
激痛である。時計は3時。6時までは必死に耐えなければ行けない。
耐えて6時。
朝になり、妻からLINEが届く。
こっちの状況を知って、「おかしい!」と妻が怒りまくる。
「痛み止めが1種類しかないとかあり得ないから聞いてみろ」との事。
普通は薬の効き方や効果が個人で違うので、3種類くらいは用意されて、患者の様子で変更し、患者の痛みを取り除くために看護しなければいけないのがセオリーだそうだ。
痛みは患者にとっては辛く、また身体的にも悪影響しかないため、なるべく取り除くのが重要であるとのこと。
それで、検温等に来た看護師に尋ねてみた。深夜番の看護師は、入院時の看護師と違っていたので答えてくれる。
「座薬か注射になります。内服はまだ出てませんね」
どっちも嫌だが、痛いのよりはマシだ。座薬を選択。自分で入れることにする。
食事のことを聞くと、水も食事もダメだと言われた。
昨日の看護師は飲んで良いと言っていたので、一口だけお茶を飲んでしまったではないか。
取り敢えずここで採血をする。だが、この時は痛みで朦朧としていて、後で記録を見て「やったんだ」って感じ。
座薬を入れて落ち着く。
少し横になっていると、突然おじさんが入ってきた。
「三木さん。どうですか?」
誰だろうと考える。小さくて色黒の人・・・・・・。
あ、昨日朦朧としている中、一瞬だけ声かけて消えていった人だと気づく。
「痛いです」
「痛みを10が最高だとすると今は?」
それ、看護師が良く聞く奴。
「・・・・・・今は薬が効いているので4とか、3とか?」
「良かったね。吐き気とか無い?」
「気持ち悪いけど、吐き気という程では無いです」
私が答えると、特に何も言わずに消えていった。
誰だ?
・・・・・・まさか、アレが私の主治医なのか?ってか、あの人医者?
そうです。
この人こそが、私が人生で出会った中で最も愚かな人物、スーパードクターSSKなのだ。(無論仮名である)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます