第358話 ボーンドラゴンとの戦い
俺が放ったD粒子振動ボールを、ボーンドラゴンが避けた。その動きで、ボーンドラゴンがD粒子を感じ取れ、意外に素早いというのが判明する。
相手がアンデッドなら光剣クラウで戦うしかないと思い、取り出して構えた。だが、相手の巨体を見詰めていると、接近戦は無謀だと感じ始める。
ボーンドラゴンが俺に向かって突撃してきた。それを見て七重起動の『ティターンプッシュ』を発動する。ティターンプレートがボーンドラゴンに向かって高速で飛び、巨大な肋骨に激突。
その衝撃を吸収したティターンプレートは、自らの運動エネルギーと吸収したエネルギーを合わせて、ボーンドラゴンに叩き返した。
その衝撃でボーンドラゴンが尻もちをつくように倒れ、直接衝撃を受けた二本の巨大な肋骨が砕け散る。
チャンスだと思った俺は、『デスクレセント』を発動しD粒子ブーメランをボーンドラゴンの頭に向かって飛ばす。
それに気付いたボーンドラゴンが、口を大きく開けた。何をしようとしているか分かった俺は慌てて避難する。次の瞬間、ボーンドラゴンの口から、火炎ブレスが吐き出された。
火炎ブレスとD粒子ブーメランが衝突し、空間振動波が放射されるが、ボーンドラゴンには届かなかった。
急いで『マグネティックバリア』を発動し形成されたD粒子磁気コアを首に掛けると、自分の周りに磁気バリアを展開する。
「火炎ブレスを吐くという事は、生きている時はファイアドラゴンだったのか」
そう呟いた俺に向かって、ボーンドラゴンが吐き出す火炎ブレスを振り向けた。磁気バリアに火炎ブレスがぶつかり渦を巻く。ファイアドレイクの火炎ブレスより強力だ。
磁気バリアの内部にまで熱気が侵入し、俺から体力を奪おうとする。
『保温マントです』
メティスのアドバイスで、保温マントを取り出して羽織った。それで熱気を遮断する事ができた。
ボーンドラゴンは俺に火炎ブレスが効かないと分かり、ブレスを吐くのを止める。そして、また巨体を機敏に回転させた。
クイントカタパルトを使って身体を真上に投げ上げる。十メートル上空で七重起動の『ブローアップグレイブ』を発動しD粒子で巨大な武器を形成する。
そのD粒子グレイブをボーンドラゴンの頭に振り下ろした。音速を超えたD粒子の巨大な刃が迫った時、ボーンドラゴンの手が巨大な刃を受け止めた。
次の瞬間、D粒子グレイブが爆発。ボーンドラゴンの指先から肩までが爆発で粉々に砕けるのを確認する。『エアバッグ』を使って着地した俺は、もう一度『デスクレセント』を発動しD粒子ブーメランをボーンドラゴンの頭に向かって放つ。
そして、『韋駄天の指輪』に魔力を注ぎ込み素早さを七倍に上げる。その瞬間からボーンドラゴンの動きが遅いと感じ始めた。
ボーンドラゴンがゆっくりと口を開き始める。火炎ブレスをD粒子ブーメランにぶつける気なのだろう。俺はクイントカタパルトで身体をボーンドラゴンの首に向かって投げ上げた。
火炎ブレスが吐き出されるのと同時に、俺は巨大な
『エアバッグ』で着地したのと同じタイミングで、巨大な頭蓋骨が地面に落下し暗い眼窩の奥にある闇が俺を睨む。その時には火炎ブレスは止まっており、駆け寄った俺が光剣クラウで頭蓋骨を斬り裂く。
その一撃がトドメとなった。骨の巨体が消えドロップ品が残る。俺は『韋駄天の指輪』への魔力供給を止めてから、エルモアを出した。
『おめでとうございます』
「ああ、予想外の相手だったよ」
『私も部屋が大きくなるとは予想できませんでした』
俺たちはドロップ品を確認する事にした。最初に目についたのが、光剣クラウとそっくりな剣だった。拾い上げて鑑定モノクルで確認すると、『光の剣:ソラス』と判明した。
「よし、狙い通りだ」
『光剣ソラスだったのですね。しかし、使い方はどうなんです?』
「分からない」
俺は光剣クラウとソラスの剣を抜き構えてみた。何も感じないので、両方の剣に魔力を流し込む。すると、クラウとソラスが光を放ち始め、その間に引力のようなものが発生する。
両方の剣は引き合い、それが一つに重なった。強烈な光が発生し眩しくて目を開けていられないほどとなる。思わず両方の剣を手放し、両手で光を遮った。
クラウとソラスは宙に浮いたまま、俺から魔力を吸い上げている。手を離したのに何らかの導線が繋がっているようだ。
光の中で二つの剣が融合し変形しているのを感じる。光が薄れ一つに融合した剣が落下した。その落下した剣を見て首を傾げる。
「変な剣になった」
『そうですね。何でこんな形に?』
メティスも同感だったようだ。俺は融合した剣を拾い上げた。柄の部分は完全に一つになっている。奇妙なのはガードと呼ばれる
それを見て電源ケーブルのコンセントに差し込むプラグと呼ばれる部分を連想した。
『もう一度魔力を流し込んでみてはどうでしょう』
「そうだな。試してみよう」
俺は柄の部分を両手で握り魔力を流し込む。すると、二つの剣身の間に光が生まれた。その光が眩しいほど輝き始め五メートルほどの光の剣に成長する。
『なるほど。これが光剣クラウ・ソラスの本当の姿なんですね』
メティスは納得しているようだが、俺は納得していなかった。伝承によれば、ベヒモス級の魔物を一撃で倒したというものがあるので、物足りない感じがしたのだ。もしかすると、これで斬撃を放つと凄い威力になるのかもしれない。
俺は特注の鞘を作らないとダメだなと思いながら、光剣クラウ・ソラスを収納アームレットに仕舞った。
その後、白魔石<小>と指輪を発見した。この指輪も鑑定モノクルで調べると『収納リング』だと判明する。容量は縦・横・高さが五メートルの空間と同じになる。しかも、収納空間の時間の流れが遅くなっているようで、食料などを入れておくには便利そうだ。
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