第2話

 コンビニに着くと、田舎特有のサッカーが出来そうなくらいの敷地にポツンと一軒のコンビニが建っていて、無駄に広い駐車場には奥の隅っこで大型トラックが数台と、軽トラ数台が止まっていた。


 コンビニ前に駐車すると、夫の正也まさやがポケットから煙草ワイルド セブンを取り出す。


 「ちょっと一服するから、その間に必要な物買いなよ」


 「うん、分かった」


 私はポルシェから降りて、コンビニへと入っていく。

 

 六十過ぎのお婆さんのやる気のない「いらっしゃいませー」を聞きつつ、ペット用品の棚へと行く。


 「モコの好きなやつ…好きなやつ…」


 うちの愛犬モコはお気に入りの餌じゃないと食べない美食家わがまま犬だ。

 だからお気に入りの餌が売り切れていたりすると、遠出して買う羽目になるので困っている。


 ぱっと見、品出しされている商品を見た感じ、売り切れの品がチラホラあるので、「無いかも…」と思った私だったが、いつも買う餌を発見する。


 「あった…。無いかと思った…」


 またいつここに来るか分からなかったので、今ある在庫分を全部手に取る。

 他には、ミネラルウォーター、虫除けスプレー、日焼け止め、軽食類をカゴに入れてレジへと行く。


 レジのお婆さんが、私の服装を見て話しかけてくる。


 「あんた、都会からきたと?」


 「はい、東京から来ました」


 「ここは何もなかよ?なんしにきたんね?」


 「引っ越しで、この先の山奥に住むんですよ」


 この先の山奥と聞いて、レジのおばさんの顔つきが豹変する。


 「あんた、まさか無人村むじんむらに行く気か?」


 詳しい場所までは夫に聞かなかったので分からない私は、


 「わかりません、多分違うと――」


 「あそこは行くのいかん!あぶなかよ!」


 詳しく聞こうかと思ったが、後ろに並んだお爺さんが怒鳴りだす。


 「はよどかんね!いそいどるとぞ!」


 「すみませんッ!」


 私はすぐさま会計を終え、コンビニを出る。

 夫もタバコを吸い終わったようで、車へと乗っていた。


 車に乗ると、「んじゃ、行くか!」と夫はポルシェを動かして走りだす。


 そんな中、私は未だにレジのおばさんが言っていた言葉が気になっていた。



 『あそこはいかん!あぶなかよ!』


 



※ ※ ※ ※


「都会からきたと?」→「都会から来たの?」


 「何もなかよ」→「何もない」


 「なんしにきたと?」→「何をしに、ここに来た?」


 「いかん!」→「ダメよ!」


 「あぶなかよ」→「危ない」





 

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無人村-私は秘境の恐ろしさを知る- おむ @OmU777

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