第4話 メタはダメ

「ちょっと、やり過ぎちゃったねぇ……」

「うん……」


 いなばさんは、孫と祖母の言い争いがやっと終戦することにホッとした。だがしかし。


「……ん? ちょっと待ってくださいよ」


 いなばさんは疑問が尽きない。


「どうしたの?」


 さっちゃんが首をかしげる。


「よく考えてみたら……、私たちは今の時点で、別に夢が叶っていないわけではないですよね?」


 いなばさんのその一言にギクッとした、孫と祖母。


「だってもう、書かれているじゃないですか」

「いなばさん!」


 孫と祖母の声が、きれいにそろう。しかし、「ハッピー・アイスクリーム」なんて言う余裕は皆無。


「この世界は『かかれまち。』っていう小説で、かかれ町の住民は、いつか誰かにかいてもらうことを夢見ているってお話」


 青ざめる孫と祖母。しかし、彼女たちの目の前にいる白うさぎの口は、止まることを知らず。


「もう夢が叶っていてもおかしくないのだとしたら、この物語は終りょ」

「ダメーッ! この作品で『第四の壁』を破るのは作風的に割と簡単だけど、それと同時に最もやらかしてはいけないことだと思う! 作風的に!」


 書いている悪者……いや作者(ガチで打ち間違えたのは秘密だ)自身もこの展開で話の進め方が分からなくなってしまう恐れを感じた(いや、むしろ分からなくなってしまっているのでは)ため、極端に短いが、この話は強制終了させていただくとしよう。


「そんな展開に持ち込んだ本人が、一番楽しんでいた気がするんだけど」


 確かに、後悔は一切していない。

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