二百二十七話 仲間の捜索25

女?



隼人は気絶させて倒した敵に

目をやる。



あー、確かこの人も帝国精鋭隊

だったな。選抜試験で見たわ。



と、敵の正体である鬼灯を

担いで、次なる敵の前に

移動する。



赤い髪で目の細いタチアナの兄、

その人であるバーゼンもまた

少しも動揺すること無く

隼人に銃口を向けようとするが



ショック



銃口を向けようと右腕を少し

動かしたその時には既に体に

電流を食らっていた。



「うし......これがタチアナの

兄ちゃんか。」



隼人はそう言ってバーゼンを

担ぐと



シュンッ!



まるで瞬間移動したのか

というくらいのスピードで

タチアナの元に戻った。



「ピッタリだったか?」



「隼人!」



「は、は!? あ、あんた......

って鬼灯とバーゼンじゃない!」



隼人のいきなりの出現に

二人は驚いたが、隼人の

抱えていたバーゼンと鬼灯を

見て更に驚く。




「ヨーテルさん。この三人を

縛りつける魔法とかってないっす

かね。」



「え? ま、まああるにあるけど。」



呪術系の魔法なのか、ヨーテルは

謎の言葉を詠唱し三人を

糸状の影で拘束した。



「助かります。」



「どういたしまして......って違うわよ!

とうとう正体を表したわね!」



ヨーテルは露骨にめんどくさそうな

顔をしている隼人に詰めよる。



「見せなさい! あんたのセルフカード。」



「朝のあれはそれが狙いだったん

ですね。」



「そうよ。昨日の会議であんたの──」



「ヨーテル。そんなことを

話している場合ではない。

やはり一人では心配だ。

一刻も早く我々も長老の元に向かおう。」



隼人のフォローに入ったのか、

それとも敵の襲来があったから

余計に不安になってしまったのか、

タチアナは長老の向かった

霧の中を進もうとする。

そのタチアナの腕を隼人は

掴んだ。



「待てタチアナ。さっきラーバが

言ってただろ? この周辺は

あいつのかけた呪術の罠が

そこらじゅうにある。

現に俺はこの二人を倒している

道中で何個か食らった。」



「く、食らった!? 大丈夫なのか?

隼人。」



「まあ、俺はそこまで効かなかったが

お前が食らったら危ないかも

しれない。」



「そうか......」



タチアナは自分の不甲斐なさに

肩を落とすが、隼人は本気で

タチアナ達が無事でいられるように

頭を回している。

少しきつい言い方かもしれないが

ここは心を鬼にすべきだと

隼人ははっきりと忠告した。


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