二百六話 仲間の捜索4

「そんな島になんであいつらが

いるのよ。もしかして、この前

その島の幹部に負けたからって

悔しくて仕返しにでも行ったの

かしら?」



ヨーテルは哀れねと付け加える。



「まさか。兄様達がそんな

馬鹿な真似をするわけがない。

きっと我々が三日月島に

いる間に何かあったのだ。」



「何かって......カクバさん達もし

かして敵に襲われたのでしょうか?」



そう不安そうにサッちゃんが

口を開く。



「あ! 僕わかった! きっとあいつに

殺られたんですよ! あのジュラ島を

飛行していた謎の物体に。」



「は? それは倒したじゃない。」



ヨーテルはルドルフにあんたは

黙ってろと威圧をかけるが

負けじとルドルフは続ける。



「違いますよ。カクバさんが

殴り飛ばしたあの物体と、

あともう一体地上に墜落したじゃ

ないですか! あれに殺られたん

ですよきっと!」



「なにそれ?」



「ヨーテルちゃんとわしは

船におったから知らぬが

もう一体おったのか?」



そう言って長老は、

サッちゃんを見る。



「はい。私も確かに見ました。」



「......では、カクバ君達が

そのもう一体のやつに

襲われたという可能性も視野に

入れておく必要が──」



「ああ、それならもう

倒しましたよ、長老。」



唐突なタチアナの発言に一同が

え!? と反応した。



「は? あんたもう倒したの?」



「あ、いやでもあの謎の物体を

倒したのは私ではなくはや......」



危うく隼人と言いそうになった

ところをギリギリでタチアナは

ストップする。



「あんたじゃないの?」



「い、いや私だ。私が倒した。」



タチアナは真面目なので

人の業績を横取りしたり、

嘘をついたりすることを

嫌っているが、ここは

顔を真っ赤にしながら

必死に誤魔化そうする。



「タチアナさん。顔が真っ赤です。

熱があるんじゃないんですか?」



てんぱっているタチアナを

見て、サッちゃんが心配そう

に言う。




「だ、大丈夫だ。ほ、本当に

私が倒したのだ。信じてくれ。」



「信じるも何もタチアナさん

以外にあれを倒せるのいないですよ。」



そのサッちゃんの言葉を聞いて

タチアナはほっとする。



「まあ、あんたがそう言うんだ

ったらそうなんでしょ。

私達とはぐれた後にでも

倒したの?」



「そ、そうだ。ばったり

出くわしてな......」



はははと薄笑いを

して、早く本題に戻ろうと

したが、ルドルフが

口を開く。



「そう言えば、タチアナさんって

僕たちとはぐれた後、唯一男で

回復魔法士をやってる変わり者

と一緒に行動してたんでしょ?

そいつ足引っ張らなかったん

ですか~?」





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