百八十三話 海底の城8
「......その私を刺したという
人間は!? どうなったの?」
「その者はエレディア村につづく
海底洞窟に逃げ込んだ後、消息を
たったと聞いております。
また、その後、エレディア村に
魔族を向かわせましたところ、
魔族は全て全滅したとも。」
「ま、魔族!? ば、ばーや!
まさか、私が眠っている間に
魔族と同族の契りをかわしてしまったの!?」
「......ええ。」
その返事を聞いて、更に人魚姫は
真っ青な顔をする。
「なあ、ワイン。
一つ疑問なんだが、お前ら魚人族は
魔族と契りをかわすまでどんな関係だった
んだ?」
俺はふと気になったことを
人魚姫たちに聞こえないように
尋ねた。
「それは俺達魚人族はエレディアの民、
つまり人間と交易をしていたから
魔族とは仲が悪かったさ。
けれど、たびたび、この海底城に
魔族が訪れては、魔族の仲間入りを
して人間を滅ぼそうって誘いは
来てたんだ。
それを人魚姫様や王室の人々は
そのつど断ったらしい。」
「へえ。」
なるほど。だから、あんなに
人魚姫は顔を真っ青にしてるのか。
そりゃ、目覚めたら敵と契りをかわして
いたなんて聞いたら驚くよな。
「やられた......はめられたわ。」
「姫様? どういうことです?」
「......ばーや。私たちはまんまと
魔族の罠にはまったのよ。」
「!? そんなまさか......」
「ばーや。私がその謎の人間に
刺されて負傷した直後に、
魔族が訪れて来て、契りを
かわすのを要求してこなかった?」
「......ええ。」
「それもそのはずだわ。
だって、私を刺した正体は
人間じゃなくて、魔族ですもの。」
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