百七十四話 三日月島39
「でも、なんで人魚を助けるために
こんなわけわかんない男が行くのよ!」
そう言って彼女は俺を指差す。
「そ、それは彼が回復魔法士だからだ。」
「それならサーマクリフエント
ロマナーリでいいじゃない。」
「そ、それは......」
「第一、その男にスカイリムを
かけたとして、どうやって海の
底まで連れていくの! そこんとこは
考えてるんでしょうね? タチアナ。」
「......」
タチアナは言葉に詰まる。
「それなら、俺が連れていこう。」
すると、ずっと物陰に隠れていた
ワインが俺達の前に現れた。
「は!? ちょっと! 盗み聞き
してたわね!」
ヨーテルはワインを見ると一瞬驚いたが、
直ぐさまほうきを向ける。
「覚悟はできてるんでしょうね!」
「待つんじゃ。ヨーテルちゃん。
少しこの者の言うことを聞いて
みようではないか。」
今にもヨーテルに攻撃されそうだった
ワインを長老がかばう。
「お、俺がその人間を海の海底まで
案内する。」
「いいのか? ワイン。俺はお前に
あんなことしたのに。俺を
信用できるのか?」
「......信用は......正直まだできない。
けど! このまま姫様が一生
目を覚まさないんだったら、
いっそのことお前のような
超人にかけてみるのも
悪くないと思った。それだけた。」
「な、何言ってんだよ! ワイン。
そんなことしたら......」
すると、今度はビールが出てくる。
「いいんだ、ビール。責任は
全て俺が取る!」
「ワ、ワイン......どうなっても
しらないからな......」
不安そうなビールを尻目に
ワインは真剣な眼差しを俺に
向ける。
「決まりじゃな。」
それを見ていた長老はパンと手を叩いた。
「それじゃあ、ヨーテルちゃん。
隼人君に魔法をかけてやってくれ。」
「はぁ......はいはい、わかったわよ。
スカイリム。」
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