百七十一話 三日月島36

「!?」



「知っておられたのですか!?」



「うむ。この前、隼人君のことを

占っての。転生者であることが

わかったんじゃ。」



「な、なんで俺のことを占ったん

ですか?」



「ああ、すまん、すまん。

特に深い理由はなかったんじゃがの。

ただ、選抜試験の隼人君とテイルちゃん

との試合で、隼人君があまりにも

ずば抜けた身体能力を持っておったから

不審に思ってな。

それで隼人君の正体を占って

みたというわけじゃ。」



この人が言う俺とテイルの試合

というのは、

俺がテイルの突進を素早くかわし、

テイルが自滅したという

あっという間に

終わってしまったものだったが、

まさかたったあれだけの動作で

俺のことを不審に思うとは......




この老人ただ者ではない。




「それに、鼠君を倒した犯人も

占ってみたんじゃが、それも隼人君

だったの。」



「ぅ......」



「なに!? は、隼人! まさか

あれも君の仕業だったのか......」



「いや......」



だってしょうがないじゃん。

ムカついたんだもん。



「はぁ......そうか......しかし、さすがは

長老ですね。まさかこの男の正体も

見破っておられたとは。

ならば、話は早いです。

長老、それを踏まえての相談なのですが、

どうにかして隼人を海底にいる

人魚姫のところまで連れていく

ことはできないでしょうか?」



「うむ......海底となると......そうじゃ。

ヨーテルちゃんなら、隼人君を

人魚姫様のとこまで連れていってやる

ことが可能かもしれん。」



「ほ、本当ですか!?」



「え......あの......俺、泳げないんすけど......

それでも?」



「うむ、心配いらん。」



「よかったではないか! 隼人!」



「しかし、一つ疑問なのじゃが、

隼人君。君にその呪いを解くほど

力はあるのかのう?」



「まあ......100%解けます。」



俺はどや顔で言った。

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