百四十六話 三日月島11

魚人の戦闘開始の合図がかかると同時に

三日月島から何かが船に向かって

飛んでくる。



「投石だ! でかいぞ!」




一人の職業者の言葉どうり、

直径一メートル程の岩が

船に飛来してくる。




「いきなりですか......!」



そう言うとルドルフは背負っていた

弓を構える。



「ハント!」



ルドルフが放った矢はその岩を

砕いた。



「うおおお!!」




すると今度は別の職業者が

船内に侵入してきた魚人に

斬りかかる。



「ぐぉ!!」



しかし、魚人はその職業者の

剣を巧みにかわすと、体勢を

崩した職業者の腕を掴み、そのまま海に

投げ捨てた。



「てめぇ!!」



それを見た他の職業者達も

その魚人に襲いかかろうとする。



「ふっ、せいぜい足掻くといい。

どちらにしろ、貴様らは魔族の

奴隷になるんだからな。」




囲まれた魚人は、流石に分が悪いと

思ったのか、そう言い捨てると

海に飛び込んでしまった。



「くそっ! ルドルフ隊長!

魚人が逃げました!」



「そんなこと後です! 今はこの

飛んでくる岩をどうにかしないと......! 」



ルドルフや牛喜をはじめとする

遠距離攻撃型の職業者達は

絶え間なく飛来してくる岩を

破壊するのにてんやわんやだった。












「しまった......我輩、もう弾が......」



「くそっ! 僕ももう矢が尽きそう

ですよ。一体いつまでこの岩は

飛んでくるんですか!」



飛来してくる岩と苦闘すること

一時間。職業者側は弾や矢、魔法を使う

為の魔力が尽きかけていた。




「ルドルフ隊長! もう一発来ます!」



「っ! もう......」



外れてくれ!



しかし、ルドルフの願いも虚しく、

ついに飛来してくる岩は船の中心に

激突した。




「っああ! 船が!」



ルドルフは必死に傾く船にしがみ

つく。



「ルドルフ隊長! 一体俺達は

どうすれば......」



周りで必死に助けを求める

部下の声が聞こえる。



そんな中、更に二発の岩が船に

衝突してしまった。



「......っ! やはり僕らでは......」



三発の岩が衝突し、それでも

なんとか沈まずに耐えている

船の上でルドルフは考える。



この状況で生き残るすべを。




「! そうだった!!」



そしてルドルフは思いついた。



「ヨーテルさん! ヨーテルさんを

ここに!」

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