百八話 エレディア村14

「なんだ、なんだ。えらい楽しんでるよう

じゃな......」



「あー、ポウ。こんな所におったの?」



「あ、母ちゃん。」



俺が浜辺で横になって

うとうとしていると、

なにやら続々と村の人達が

集まってきた。



「お。お嬢さんとお兄さん。

こんなとこで何をしてるんだ?」



バフさんが俺を見かけて声を

かけてくる。



「あの子達にここに連れて

こられまして。」



「あはは、それは迷惑をかけて

しまったな。すまないね。あの子達も

地上の人達が珍しくて仕方がない

だけなんだ。」



「迷惑だなんて思ってないさ。」



後ろを振り返ると、がっつり泳いで

きたのがわかるぐらい、金髪の髪を

濡らしたタチアナが立っていた。



「こんなにきれいな場所を

教えてもらったのだから。」



「それはよかった。」



「ところでバフさん達はどうしてここに?

今から何かあるんですか?」



「あ、そうか。お兄さん達は知らない

もんな。まあ、見ておいてくれ。

今から更にここは美しくなるぞ。」



「美しく?」



今でも十分青い光に照らされて

この浜辺は綺麗だが、これより更に

とはどういうことだ?

と頭をひねる必要もなく、

その時はすぐ訪れた。



天井の割れ目が著しく

光輝く。

いや、違う。割れ目が輝いているん

じゃなくて、割れ目から光が差し

込んでいる。


その光は月の光ではなく



「おお、太陽の光か......もうそんな

に時間が経っていたのだな。」



割れ目から差し込まれた太陽の

光は俺達を照らし、海面を照らす。

そして、海面を通過し、

青い光を放っていたワカメのような植物

に当たる。



すると



「うわ、まぶしっ......」



その植物は今度は青い光ではなく、

黄金の光を放ち始めた。

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