三十七話 鳥と少女7

俺がガビルさんからメグの過去を

聞いた次の日、俺はまた

メグのいる浜辺に顔を出していた。



「あ、おはよう。

今日も来てくれたんだ。隼人って

もしかして暇人なの?」



その鳥について一緒に調べて

やったのにも関わらず、えらい言わ

れようだ。



「ちげぇよ。よ、ペルー。今日も

微妙な青色で何よりだ。」



「ピッ、ピッ、ピッ!」



「それ、ペルーのこと馬鹿にしてん

でしょ?」



「いや、目に優しい色だって

褒めてんだよ。」




「何それ。」



半ば呆れ気味に笑う彼女の

姿が何故か心なしか、

元気がないように見える。



「そうだ、隼人。暇ならペルーと

そこらへん散歩しようよ。」



ペルーが親がいないと飛べないと

わかった以上、もうペルーを飛ばそう

とする必要もない。



「そうだな。ペルーに日光

当てないともっと薄くなりそうだ。」



「やっぱ馬鹿にしてんじゃん。」







散歩といっても、浜辺でメグが貝殻を

拾ったり、ペルーがうんこしたり

するのを眺めながらぶらぶら

するくらいだった。

けれども、こうしていた方が

メグが少し明るくなって

くれたので俺は別に良かった。




「……? 雨だ。」



いつの間にか、雨雲が空を覆っており、

ぽつぽつと雨が降ってきた。



「隼人、ペルー。あそこの

小屋の中入ろ!」



メグが走り出すと、刷り込みをされた

ひなが親を追うようにてくてくと

ペルーがあとを追った。



「ぅぅ……傘持って来れば

よかったな……」



メグが雨の降る外を眺めながら

言った。



「そうだな……」



俺はそれに普通に答えたつもりだったが

不意に彼女が俺の方を振り返る。



「隼人、何かあったの?」



さっきの俺の返しが彼女に何か

ひっかかったのかもしれない。



「? 俺はいつもどおりだが。」



「そっか、ならいいんだけど。」



メグはそう言って再び外を眺める。

俺と彼女の間で沈黙が続く。



「なぁ、聞きたいことがあるんだが……」



「……? 何?」



俺はこれを聞こうか一瞬迷ったが、

意を決して言った。



「メグは将来、職業者になりたいのか?」

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