三十三話 鳥と少女3

「いいけど、あんまり怖がらせな

いでね? ペルー臆病だから。」



俺は不安な目を向けるメグを尻目に

ペルーの傷跡に手を当てる。



「ヒール。」



人の武器で傷つけられた物では

無く、他の鳥、あるいは動物にでも

襲われたかのような痛々しい

傷を俺は魔法使って治した。



「え!? すごい!

隼人って職業者だったの!?」



メグはペルーの傷が完全に治っている

のを確認すると俺に眩しい目を向け

てくる。



「まあ、一応回復魔法士やってます……

って顔近い……」



相手の顔が至近距離まで来ると

何故か敬語になってしまうのは

俺の昔からの癖だった。



「へぇ、男なのに回復魔法士なのって

珍しいね。あ! それより、隼人!

ありがとね! 

ペルーの傷治してくれて。」



メグは眩しい

笑顔でお礼を言ってくる。

これを見てドキッとしない男など

いないだろう。



「でも……ごめん……私お金無いから

何もお礼できないや……」




「いや……別に何かが欲しくて

治療したわけじゃないし、

そんなの気にしなくていい。

そんなことよりも、ほら、

ペルーを外に出してみたら

どうだ?」



俺の言葉どおり、ペルーも立ち上がって

外に出たがっているようだった。

早く空を飛びたいのだろう。



「隼人がそう言うなら私は

いいけど……ほら! ぺるー、

隼人にお礼言って!」



外に出たくてうずうずしている

ペルーを持ち上げ、俺の顔の前に

持ってくる。



「いや、だからお礼とか――」



するとペルーはぶりっと

うんこをした。



「……うんこしたんだけど……この鳥……」



「アハハッ! ハハッ……ハハハッ……

ちょ、ちょっとっ待って……

お腹……痛い……」



何故そこがツボるのか、理解できない

俺はうんこをしたペルーを見る。



「ピェ?」



……困惑してんのはこっちだよ……


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