第27話 帰り道

「おれにとっては今日が登校初日だったわけだが、残念ながら黒羽根の持ち主はわからなかった。会えばわかると思ったんだが、気配を消していたのだろうな」


 うん、とあたしは力なく返事を返した。もし、黒羽根の天使がミチルちゃんだったらどうしようって気持ちでいっぱいになっている。こんな精神状態じゃ、おうちに帰っても宿題ができないようっ!!


「おまえさあ、ミチルのせいで宿題ができないとか、わけわかんないいいわけ探す暇があったら、もっとちゃんとしていろよ」


 しまった。アイビーにはあたしの気持ちは筒抜けだったんだ。


「わかってるよ。だけど、ちゃんとするって、どうすればいいのかわからないんだもん」

「目を閉じて、集中すればいいんだ。あとは、教科書とにらめっこだな」

「宿題の話じゃなくてっ」

「心配するな。黒羽根の天使はおれがさがす。おまえはまじめに勉強していろ」


 あれ? 今、なんか、胸がきゅんってなったよ? でも、相手はあのアイビーだし。


「ああ、おれ今ちょっとだけかっこつけたからな。でも、わかってるよな? ぜったいにほれるなよ?」

「やだ、そんなんじゃないもんっ!!」


 あぶなーい。うっかりアイビーに心が筒抜けだったことをわすれかけてた。あんたなんか好きにならないもんねーっだっ。


「かんちがいするなよ。おれにだって選ぶ権利があるんだからな」


 もぉー!! すぐ憎まれ口きくんだからっ!!


 とにかく、黒羽根の天使はアイビーにまかせて、あたしは宿題にはげむぞーっ!!


 でも、あれ? それじゃあアイビーは宿題しないの? まさかっ、あたしのやつをうつすつもりなんじゃないでしょうねっ!?


「だれがおまえの宿題をあてにするかよ。人間の宿題なんて、楽勝だぜ」


 もうっ!! さっきのときめきを返せーっ!!


 つづく

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