おまけのお話、最後の星座との邂逅

「なんもめでたくねえんだよなぁ……毎回毎回、どうしてこうなるんだか……?」


「零くん、ごめんね……私たちも止めるべきだったよ」


「ごめんね、弱くって……」


 騒動に一応の決着(罪人たちへの折檻ともいう)をつけた零は、スマートフォンの通知を切ってぼやきながらのやけ食いに興じていた。

 物悲しそうな彼のことを有栖と陽彩が気遣いながら慰めている。


 優人の方は澪と紫音へのお説教を続けており、まだ長くかかる雰囲気があった。

 まあ、今回はあの優人をここまで怒らせた二人が完全に悪いわけで、フォローする必要もないよなと思いながら零が料理をパクついていると……?


「やっほ~! 元気してるか、少年!?」


「どわっ、っと!? うえぇ……!?」


 どーん、と勢いよく、されど強過ぎない力で急に体当たりされた零が驚きに呻きながらバランスを立て直す。

 どうにか立ち直った彼が振り返れば、そこにはなんだか明るいが過ぎる雰囲気の女性が立っていた。


「あっはっは! ごめんごめん! でもなんか背中が煤けて見えたっていうか、元気なさ気だったからさ~! ショック療法、的な?」


「は、はぁ……?」


 ド派手な金髪をしたその女性は、ばっちりメイクを決めた顔に笑みを浮かべながら零へとそう言った。

 雰囲気的にギャルっぽいな~、なんてことを考えながら、あまりケバケバしさを感じないのは彼女の元の顔立ちが整っているんだろうなとも思う彼に向け、女性はこう続ける。


「君が阿久津零くんで、そっちが入江有栖ちゃんっしょ? こうして顔を合わせんのは初めてだね~! 年末年始も地方民の私は会議に参加できなかったし、なんだかんだで絡む機会もなかったしな~!」


「年末年始の会議……って、もしかして、あなたはふたご座の……!?」


「そうで~す! 【CRE8】一期生、ふたご座の双海こだまを担当してる、城之内仁香じょうのうち にかで~すっ! よろしくお願いしま~す!!」


 非常に明るい口調で挨拶をしてきた仁香へと、驚きを交えた視線を向ける零と有栖。

 一応、このパーティーに彼女が参加していることは知っていたが、どうしてここまでド派手な女性の姿に気付かなかったのかと疑問を抱く二人へ、苦笑した仁香が言う。


「いやさ、私も今来たばっかりだから、なんか流れに乗り遅れちゃってるんだよね。でもまあ、ようやく二期生の子たちと顔を合わせられて良かった~! って、ちょっと安心してる! 三期生の子たちもそうだけど、私のこともこれからよろしくね!」


「あ、はい。こちらこそ、よろしくお願いします!」


「うん! じゃ、私は他の子たちにも挨拶してくるね! 零くん、有栖ちゃん、これからよろしゅう! それと、今日は楽しゅう盛り上がっていくっちゃ! それじゃ、またね!!」


 最後にそう言い残し、他のメンバーの下へと駆け出していった仁香を見送った後、零と有栖が顔を見合わせる。

 なんともまあエネルギッシュな女性だと思ったが、それと同じくらいに気になったのは彼女が口にした特徴的なしゃべり方だ。


「いくっちゃ……って、あれ、方言だよね? どこのだっけ……?」


「なんか聞いた覚えがあるんだよな……? えっと、あれは確か――」


「福岡の人、だったかな? ボクの記憶が正しければ、城之内さんはそっちに住んでる人だったと思う。だから、博多弁……ってことになるんだろうけど、あんまり使ったりはしないね。喜屋武さんに近い感じかな?」


「ああ、なるほど……!」


 どこか聞きなじみのあるイントネーションや語尾が結構有名な方言である博多弁であると陽彩に教えてもらった零が納得したように頷く。

 ただ、仁香は方言を積極的に出すタイプではなく、沙織と同じアクセントとして使うくらいなのだろうなと思った彼へと、陽彩がこう続けた。


「そういえば、城之内さんもこっちに引っ越してくるらしいよ。社員寮には住まないみたいだけど、住居を見つけるための拠点として暫く泊まるとかって話を聞いた気がする……」


「そうなんだ。じゃあ、【CRE8】のタレントは全員が首都圏に集合することになるのかぁ……」


 初耳の情報に頷いた零がふんふんと唸りながら他の面々と話をしている仁香を見やる。

 これから先、彼女と関わることも増えるのだろうなと思いながらも、それはまだ少し先の話かと考え直した零は、一旦は先の炎上で受けたダメージを忘れ、パーティーを楽しんでいくのであった。


――――――――――

いつも通りにマシュマロを募集いたします!

近況ノートに枠を用意しますので、よろしければどしどしご応募ください!


今回の対象は枢&三期生の三人(ちょっと芽衣ちゃんもあり)です!

質問系マロもクソマロもその他もろもろのマシュマロも募集しております!

ご協力のほど、よろしくお願いいたします!!!

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