翌日、上機嫌なくるるんの配信
「いや~……デビューしたな、三期生。とうとう俺も先輩になったのかぁ……!」
【いつかは来るとは思ってたけど、実際にその日を迎えてみると感慨深いものがあるよね】
【よっ! くるるん先輩!】
【くるるんは結構面倒見もいいから問題なく後輩とコミュニケーション取れそう。っていうか、二期生は基本的に心配ないかな?】
【しかし後輩がデビューしたということはくるるんを燃やす人間が増えたということでもある】
【マナちゃんにデビュー前から燃やされてた時は本当に草生えたわwww】
『トライヴェール』のデビューから一夜明け、翌日の夜。
雑談配信を行っていた枢は、三名の後輩のデビューの感想をリスナーたちと共に語り合っていた。
普段にも増して賑わっている配信には多くのリスナーたちが駆け付けており、彼らへと枢も上機嫌で語り掛けていく。
「新人三人って結構ちょうどいい人数だと思うんだけど、お前ら的にはどうなの? もう少しほしかったとか思う?」
【俺もちょうどいいと思うかな! 多過ぎると追うのが大変だしさ!】
【八、五からの三なんだからいい具合だと思う。一気に沢山デビューされるとやっぱ追い切れない】
【時期的に新人さんたちのデビュー準備と年末年始のバタバタした時期は重なってたと思うし、スタッフさんたちのキャパを考えるとこれで良かったと思う】
「あ~、そうだよなぁ……! しゃぼん義母さんも言ってたけど、年末年始は忙しいからスタッフさんたちは本当に大変だったと思うわ。新人さんたちもその中で一生懸命準備してくれたんだろうし、デビュー配信が上手くいって本当に良かった」
クリスマスから3Dライブをはじめとした様々な企画を行った怒涛の年末年始を振り返った枢がしみじみとそう語る。
この一、二か月は本当に色々なことがあったな……と、そんな昔のことでもないのに妙に懐かしく思いながら、枢はデビュー配信後の自分たちについて話し始めた。
「俺たち、『トライヴェール』のデビュー配信を事務所で見守ってたんだけどさ、その後二期生のみんなで色々話をしたんだよな。ほら、リア様はやっぱ来れなかったし、三期生がどんな人たちなのかも教えてあげたかったしさ」
【確かに。リア様も気になってただろうしね】
【初めての後輩だもんなあ……リア様も興味津々だったろうて】
【リア様もなんだかんだでコミュ力は高いけど、方言がちょっとネックになりそう。その辺はくるるんたちがフォローしてくれると信じてるけどさ】
「一応ね、SNSの方で呟いたりしてたけど、ハウンド姉妹とはデビュー配信前に顔を合わせてたわけで、寮住まいだからこれからちょくちょく顔を合わせることになると思う。で、昨日初めて顔を合わせたオリオンさんについてもリア様にお話させていただきました。丁寧な人だったし、事務所の仲間として付き合っていくことに対しての不安とかは一切ないな」
【反応、どうだった?】
【リア様、なんて言ってた?】
【ワクワクドキドキしてたような気しかしない】
「先輩として上手くやっていけるか不安そうだったけど、でもそこまで心配はしてない感じ……かな? 一応、俺たちの中では最年少だしさ。先輩らしい振る舞いってのがわからないんだと思う。でもまあ、俺はそこまで心配することないと思うけどなぁ。無理に先輩らしくする必要もないって、みんなも思うだろ?」
【それはそう。そこまで上下関係きっちりしてほしいわけじゃないし、楽しく友達として遊んだりしてもらえればいいと思う】
【リア様&マナちゃんの妹コンビの絡みとか見てみたいな! 二人とも天然だし、予想不可能な展開の連発で面白そう!】
【歌方面での活動をしようって人はいないけど、オリオンとかいきなり歌ってみた動画とか出してたし、お話できるといいな】
「まあ、当たり前の話だけど、新しい人たちが入ってくると色んな絡みが増えて、やれることも沢山できるからな。不安もあるっちゃあるけど、やっぱ今は楽しみだとか期待の感情の方が大きいわ。一期生の先輩たちも、俺たちがデビューする時はこんな気持ちだったのかな?」
とまあ、そんな感じにテンポよく雑談をしていた枢は、そこで話を区切ると喉を潤すためにお茶を飲んだ。
昨日のデビュー配信を見たリスナーたちも三期生と枢たちとの絡みを早くも期待しているようで、本当にいい意味で配信も【CRE8】も盛り上がっている。
枢自身も二人目の男性タレントことオリオンの誕生のお陰もあってテンションが高い状態で、いい感じにモチベーションを高めてもいた。
これは配信では出せない話題ではあるが、彼が自分の後輩として、同じ事務所の仲間として戻ってきてくれて本当に良かったと思う彼は、今後のことを思うとついつい口元に笑みを浮かべてしまう。
紗理奈もそうだが、自分も彼とは色々と約束をしているのだと、そして男性タレントが二人になったことで色んな企画ができるようになったことも大きいぞと考える彼へと、リスナーたちからオリオン絡みの質問が投げかけられた。
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