二期生・全体について

「二期生全体に関してはもう、仲が良いよね~! っていう一言に限るね。全体的に年齢が近いっていうのもあるんだろうけど、一緒にいるといつも楽しそうだもん」


「機会があれば……っていうより、自分たちで機会を作ってオフコラボとかもしてるしな。全員で遊ぶのが楽しいんだろうなって思う」


「真面目な話、誰一人として抜けていい奴がいないって思えるのがすごいところだよね。一期生も同じだとは思ってるけど、二期生は特にそんな気がする」


 事務所の後輩である二期生たち全員の絡みを見た印象は、三人が三人とも一致していた。

 本当に仲が良い……それが、彼女たちが五人に抱いた感想だ。


 まとめ役であるたらばも、唯一の男性である枢も、弱気ながらも五人一緒だと楽しそうな芽衣も、いじられキャラの愛鈴も、妹分としてかわいがられるリアも……誰一人としてなくてはならない存在だと思える。

 もしも誰か一人でも同期としてデビューしなかったとしたら、今、ここで繰り広げられているてぇてぇは存在しなかったのだろうと、そう思わせるだけの何かが二期生たちにはあった。


「……こうなるまで、本当に色々なことがあったと思うよ。実際、アタシも沢山悩んだり、苦労してきたあいつらの姿を見てきたからさ。でもだからこそ、今のあいつらの姿に感慨深いものを感じてる」


「後輩としてデビューするのって、思っている以上にプレッシャーがあると思うんだよね。【CRE8】の二期生として、先輩たちにも負けないような活躍をしなくちゃ! みたいに気負うことってあると思う。特に、自分が全力で叶えたいと思う夢を引っ提げてこの世界に入ってくるわけだから、気負い方もより重々しくなっちゃうよね」


「その気負いとか、プレッシャーとかを全員で寄り添って、支え合って頑張ってるからこそ、二期生は尊いんだと思うよ。キラキラ輝く部分だけじゃなくって、あんまり他人には見せたくない弱くて暗い部分も曝け出せるからこそ、二期生の絆ってここまで深くなったんだと思う」


 決して、一期生の絆が後輩たちに負けているとは思っていない。

 ただ、自分たちが彼らほどに同期たちの闇や醜さを知り、その弱さに寄り添えているかと聞かれると、自信がないことも確かだ。


 一期生も二期生も、同じ仲間としてお互いに夢を共有し、それを叶えるべく手を取り合っている。

 だが、弱さを共有しているかどうかという面では、二期生の方に軍配が上がるような気がした。


「……また一期生で集まりたいね。滅多に機会が作れないけど、一緒に遊んだり、何かをしたいって気持ちはずっと胸の中にあるよ」


「アタシたちが3Dモデルを手に入れたんだし、他の奴らもこれからどんどん3Dデビューしていくだろ。そのお披露目もそうだけど、全員揃ったら……こうして座談会とか、ライブとかしてみたいよな」


「ああ、うん……おせろママの爆乳が揺れるところは見たい。あと、サソリナのロリ巨乳がどこまで再現されるかも楽しみにしてる……!」


「……お前、そろそろ口を縫い付けてやろうか? 場の空気を読めって!」


「ぎゃ~っ!? 暴力反対! 誰か、男の人呼んで~っ!!」


 わーぎゃーと騒ぎ始めるマコトと乙女の姿を見ながら、くすくすと笑う早矢。

 二期生たちとは随分と違うかもしれないが……これもまあ一種の信頼と絆の形だよねと考えていた彼女は、スタッフがカンペを出していることに気付き、そちらへと目線を向けた。


「はい! じゃあ、そろそろこの座談会もお開きだね! 最後にデザートが用意してあるから、それを食べながらまったりおしゃべりして終わりにしましょう! ……って、スタッフさんが言ってるよ!」


「カンペが出てることは言わなくていいんだよ。スタッフさんも苦笑してるだろうが」


「うっひょ~っ! デザートまで用意してくれてんの!? マジで今日、豪華じゃん!! 至れり尽くせりで申し訳なくなってきちゃったな~!」


 二期生の印象を個別に語り、全体的な総括もして、美味しい料理に舌鼓も打った。

 となれば、そろそろ座談会もお開きにして、動画収録も終わりにする頃合いだろう。


 最後にデザートまで用意してくれているというスタッフの心遣いに感謝する三人は、ここまでの料理の美味しさから締めの甘味にも期待を疼かせているようだ。

 彼女たちがワクワクと胸を躍らせる中、スタジオの中にデザートが運ばれてきたのだが……それを持ってきた人間たちの顔を見た瞬間、三人の表情が驚きに染まっていった。

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