ビッグ3、ゆるゆる女子会~二期生を語る~

のんびり座談会、開始!

「は~い、どうもこんにちは~! ……始まり方ってこれでいいのかな?」


「いいんじゃないか? アタシもよくわからないし、無難なのが一番だろ」


「な~んかちょっとぎこちなさがあるよね~。私たちって意外とあんま収録慣れしてないのかな?」


 夜八時、【CRE8】公式チャンネルにて一本の動画がプレミアム公開された。

 『ビッグ3・ゆるゆる座談会(二期生について語る)』というタイトルのその動画は、コメントを送る数万のリスナーたちに見守られながら進んでいく。


 動画のメインとなっているのは、先日事務所初の3Dモデルを手に入れて、それを用いたライブ配信を行ったビッグ3こと、夢川早矢、獅子堂マコト、清川乙女の三名。

 ただし今回は3Dモデルではなく、これまで通りの2Dのモデルを使って収録を行っている。


 やや固さがあるというか、微妙に始まり方がわからない雰囲気を醸し出している三人を代表して、事務所のトップである早矢がこの動画の企画内容について視聴者たちへと説明をし始めた。


「え~と、今回はですね、3Dライブお疲れ様会を兼ねて、私たち三人でゆるゆる座談会をしていきたいと思います! 今、私たちの目の前には美味しそうな料理が並んでてですね~! これを三人でつまみながら、おしゃべりをしていくって感じですね!」


「これ、動画なんだよな? じゃあ多分、どんな料理が並んでるかって映像もこの辺で差し込まれてるか」


「酒がないのが残念だわ~……いや、飲んだらこの映像の大半がお蔵入りになる気しかしないし、妥当な判断だと思うけどさ」


 早矢の解説に相槌を打つようにして、それぞれコメントをするマコトと乙女。

 二人が話した後で映像が切り替わり、テーブルの上に並べられている料理たちの画が映し出される。


 黄色のサフランライスとその上に並べられた野菜や魚介類たちの鮮やかな色合いが特徴的なパエリア。

 ライスペーパーにこれまた見た目が抜群の食材たちを包んで作った生春巻き。

 その具材をローストビーフで包んだ野菜巻きと、テーブルの上に並べられているオードブルたちはどれも全て実に美味しそうに見える。


 いや、見えるだけではない。実際に美味しいのだ。

 それぞれ料理を頬張った早矢たちは笑みを浮かべたり、瞳を閉じてその味に感激したり、ばたばたと体を動かしたりと、三者三様のリアクションを見せつつ、感想を述べ始める。


「パエリア美味し~っ! こんなケータリングしてくれるお店があるんだ!?」


「うん、ローストビーフ巻き? っていうのかな? これも美味いよ」


「あ~っ! ワイン欲しくなる、ワイン! 赤も白もどっちも飲みて~っ!!」


 それぞれの料理を摘まみつつ、楽しそうにはしゃぐ三人。

 そうやって舌鼓を打っていた彼女たちは、マコトの一言を切っ掛けに配信の話題を先へと進めていった。


「ローストビーフね。前に二期生のクリスマスパーティー配信で枢が作ってるの見てから、無性に食べたくなってたんだよ。こういう機会に食べられて良かった」


「そう! そうだった! 料理が美味しくて夢中になってたけど、今回は座談会でもあるんで、お話もしなくっちゃ! それで、今回のトークテーマはですね……今、マコトちゃんが名前を出した二期生のみんなについて! となっておりま~す!!」


「二期生か~……! 確かに同期に関しては雑談とかで語ったりしたけど、後輩に関しては話してなかったな~……」


「アタシ以外の二人はこれまであんまり関わりがなかったからね。年末年始を機に色々と話すようにもなったわけだから、確かにちょうどいい感じかもね」


 今回は料理を食べるだけでなく、トークをする企画であったと唐突に思い出した早矢のMCによって本題を思い出した面々がそちらの話題へと進んでいく。

 これまであまり後輩たちと絡みがなかった早矢と乙女が本格的に彼らについて話すのはこれが初めてかもしれないとこぼす中、今度はマコトが会話を主導し始めた。


「どうする? 一人一人話していく感じにするか? そっちの方がやりやすいだろ?」


「うん、そうだね! じゃあ、誰の話からしていこうか?」


「ここは取っつきやすい話題がある人からがいいでしょ! つまりはおっぱい! 二期生でおっぱいといえばたらばちゃん! というわけで彼女からいこう!」


 あまりにも欲望全開な乙女の発言に苦笑しつつも、特に反対意見もない二人は彼女の言うことに同意するかのように頷いた。

 そこから、三人は二期生のリーダーである花咲たらばについて話をし始める。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る