料理下手愛鈴の、未公開映像

【ケツをシバき隊】


 お次は第三回の未公開映像からこちらのシーン。

 可哀想な私が枢にケツをシバかれて悶えている場面から話が展開していくよ!


「痛ったぁ……! ちょっとあんた! 流石に全力で私のケツを叩き過ぎじゃない!? 腫れてデカくなったらどうすんのよ!?」


「知るか。憧れのナイスバディに近付けるんだから、むしろ感謝するところだろ?」


「ふざけんな! 誰もこんな形でボン・キュッ・ボンになりたくなんかないわ!」


「いや、胸はないんだから最初のボンはいらねえだろ」


「表に出ろ! ぶっ飛ばしてやる!!」


「はいはい、いいから料理を続けてください。指を切らないように気を付けてね」


 見返してみると結構気を遣ってくれてる部分もあるのよね。

 ただ、それ以上に辛辣な態度が目立つから腹が立つんだけど!


 とまあ、そんな恨み節は決して忘れないようにしながらも横に置いておくことにして、話が本題に入っていくわよ~!


「あんたさ、遠慮なしに人の尻をハリセンでバシンバシンやってくれちゃってるけど、他に同じことできる相手とかいるわけ? 芽衣ちゃんとリア様はピコピコハンマーですら無理だったじゃない」


「当たり前でしょ? どうしてあの二人を叩かなくちゃならないんですか?」


「おう、その言い方だと私にはケツをシバく正当な理由があるみたいじゃねえか!」


 ……この時はキレてたけど、改めて見返してみるとシバかれるだけの正当な理由しかないんだよなぁ。

 でも腹が立つから認めない! ラブリーは嫌なことはすぐ忘れる性格なの! きゃはっ♡


「まあ、普通に考えてこんなことできるの相手はほとんどいませんよ。愛鈴さんの他にはしゃぼん義母さんくらいしかいないです」


「えぇ~……すごく嫌な特別感を出されちゃってるんだけど……?」


「まあ、まだ知り合ってない人の中にこういうことができる人がいるかもしれませんけどね。基本は無理ですよ。しずくちゃんとか絶対にやりたくないですし」


「たらばはどうなのよ、たらばは!? 料理の腕はともかく、あの言動にストップを入れるためにツッコむ必要はあるでしょ!?」


「たら姉はなぁ~……確かに一理あるけど、やったら間違いなく炎上するんだよなぁ……」


 まあ、それには同意だわ。セクハラだなんだって言われて燃やされる未来が見える。

 ……ちょっと待って? なんであんたたちも私の時には騒がないでたらばの時だけは声を上げるわけ!? おかしいでしょ、こんなの!? アイドル差別だ! 贔屓だ! 


「私はやってみたいわよ。たらばの尻にハリセンフルスイング、気持ち良さそうじゃない?」


「あ~、俺は知らないぞ? ここ絶対に『おかわり!』の方で使われるからな? 炎上しても後悔するなよ?」


 ……大丈夫よね? 女同士だし、問題ないわよね?

 炎上のプロフェッショナルである枢にそう言われたら不安になるけど……これで燃えたりなんかしないわよね?


 でもみんなも同じこと思うでしょ!? あの南国ピーチを思いっきり引っ叩いてみたいって!

 これ以上この会話続けると本気で燃える気しかしないから次行くわよ、次! 私は台本を読んでるだけだからね!(嘘)




【ラスボス】


 続きましては、調理を終えてから実食に移るまでの一幕からこちらの場面をご紹介!

 カメラの前では頑張る枢だけど、収録が止まっている時は本音が出るみたいで……?


「うぁ~……っ! 思ってたより神経使った~……」


「いや、なんか自分で言うのもあれだけど申し訳ないわ。ごめんって感じ」


「マジで食材を切る順番とか衛生の部分まで知らないとはなあ……まあ、人伝に聞く家の状態から考えるにお察しって感じではあるけどさ」


「今はちゃんと掃除してるから! ゴミ出しもしてるから! ってか、大丈夫なの? なんでしょ、私? そんな調子でラスボスと戦えるわけ?」


「考えたくね~! これ以上の負担とかマジかよ、おい」


 ……この瞬間、スタッフさんたちがげんなりしてたのを覚えてるわ。

 枢だけじゃなくって裏方の人たちまでこんな反応するってことはガチでヤバいんだなって思ったけど、ラスボスの脅威度は私の想像を遥かに超えてたみたい。


「実は俺、ちょくちょくしゃぼん義母さんの家に掃除しに行くんだけどさ……ひどいんだ、毎回。どうやったらあそこまで家を汚せるのかわかんねえんだ」


「……そんなレベル? 私の家と比べて、どんな感じ?」


「愛鈴宅がレベル十だとしたら、しゃぼん義母さんの家は七万くらい。ひどいよ。よくこの環境で生活できるな、ってレベル」


「うえぇぇ……?」


 ぶっちゃけドン引きだわ。私もそこそこ汚宅だと思ってたけど、下には下がいるって思ったらなんか気分が良くなったし。

 っていうか枢の奴、そのレベル七万のゴミ屋敷を毎回リセットしに行ってたのね……。


「ちなみになんだけどさ、奇跡的に掃除だけが苦手で料理とかはなんとかできるってことはないの?」


「ない。絶対にあり得ない。そもそもあの人の家の冷蔵庫に食材と呼べる代物が入ってたことはないし、仕事で忙しいと絶食することもしばしばだから、少なくとも自炊って言葉と程遠い生活を送ってることは間違いない」


「おぅ……断言できちゃうレベルなんだ……?」


 ……もしかせずとも、しゃぼんさんって人間じゃないんじゃない? いや、悪魔なのは知ってるけどさ。

 ラスボスがやって来る前に経験値を積んで、攻略できるようになってることを祈っておくわ……。

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