男二人で、したいこと

「あ~、あ~っ、ああ~っ! わかる、すごくわかるよ、それ!」


【俺もわかる、すげーわかる!】

【ライルと同じくらいの声出しながら、わかる! って言っちゃった】

【そうだそうだ、それが一番に来るよな!】


 何気ない願望を答えとして挙げた零であったが、その答えに対して大半のリスナーたちからの共感の声が上がる。

 女性リスナーたちの中にも理解できるという意見を口にする者もおり、特に今日一番の大声を出して頷いている優人は、零の意見に深く共感を見せていた。


「いや、僕も同じハートスートの子と食事に行くことはあるんだけど、店選びに困るんだよね。基本的にはお洒落なイタリアンとかにするんだけど、そういうパスタよりもコッテコテで脂ぎったラーメンを食べたくなる時って、結構あるよ」


「そうなんですよね。お洒落さとかどうでもいいから、がっつり腹に溜まる健康に悪そうなものを食べたい! ってなることはあるんですけど、それに女性陣を突き合わせるわけにはいかないからな……ってなって、結局はレッドハートさんの言う通り、大体がパスタとかピザとかを出すお店で食事することになる。楽しいし美味しいお店なのは間違いないんですけど、偶には男臭い店に行きたくもなるんですよね」


「食べる量にも差があるからね。僕たちなら牛丼の大盛くらいは余裕だけど、女の子たちはなあ……ってなっちゃうし」


「カロリーを気にしてる人もいるんで、やっぱ女の人と一緒だとそういう店には行けないですよ」


【会社のランチがもろにそれだわ。女の子が多いとイタリアンになる】

【女の中でラーメンとか牛丼食べに行きたい! って思う私はきっと少数派】

【枢もライルも一番絡む女の子が小食っぽいからな。こってり系の店に行けない気持ちはわかる】


 食というのは、生きる上で切っても切れない要素だ。

 故に、人間誰しもが理解できることもあるし、共感もできるのだろう。


 異性と一緒に行く店と、同性同士で行く店は違う。

 女性と一緒ならば量や値段よりも雰囲気を優先しなければならないような気がするが、同性ならばそんな気遣いは無用だ。


 不健康で腹がいっぱいになるような油マシマシのラーメンでも、安くて早くて量も多い牛丼でも、好きに選んで食べていい。

 一人でもそういう店には行けるが、誰かと一緒に駄弁りながら食べてみたいのだと語る零の意見には、多くの同意が寄せられていた。


「そう考えると、マジで長らく男二人で飯とか行けてないんですよね。大体が自炊で済ませてる上に、そもそも相手がいないんで」


「そっかあ……でも僕もそんな感じだな。他スートの男性メンバーもカロリー計算とかしてるみたいだからラーメンとか滅多に食べないって言ってるし、なかなかそういう機会ってないんだよね」


「……なんか、こういう話をしてるとラーメン食べたくなりません? 口がもう、ラーメン一色です」


「配信終わったら食べに行こうか? 僕、車出すよ。深夜でもやってるラーメン屋、探せばあるよね?」


「本気ですか!? 唐突過ぎません? そこはまた別の日にしましょうよ!」


「そうだね。いや~、でも……食べたくなっちゃったな、ラーメン。こんな時間なのに」


【飯テロやめてください】

【腹減ってきたなり……】

【チクショウ! こんな時に限って家にカップ麺がねえ!!】


 若干の飯テロを食らったリスナーたちからの怨嗟の声がコメント欄に溢れ返る様を目にして、申し訳なさを感じつつ苦笑する零。

 質問に対する答えを述べた彼は、そのまま優人へと彼自身の答えを言うように促す。


「それで、レッドハートさんはどうですか? 二人でやりたいこととか、あります?」


「今はラーメンを食べに行きたいけど、そうだなあ……これをしたい、っていうものだったら、キャンプとか行ってみたいかな」


「キャンプ!? 割とアウトドアなんですね!」


「まだ数えるほどしかやったことないんだけどね。でも、一度誰かと一緒に車中泊とかしてみたいんだよ。そういうの、なんだかワクワクするでしょ?」


「わかります。普段の空間が様変わりすると、秘密基地にいるみたいな気持ちになりますよね」


【くるるんもライルも男の子出ててかわいい】

【車中泊かあ……俺もやってみてえなあ……】

【なんかいいね、この二人。わちゃわちゃしてて好き】


 優人の答えにも、リスナーたちからの同意が集まっている。

 零もまた意外さを感じながらも楽しそうだと頷く中、優人はしみじみとこんなことを語り始めた。


「ソロキャンプは静かだし自分のペースで色々できるから楽なんだけど、それが寂しいと思うこともあるんだよね。それに、今までやってこなかったことに手を出すことで得られる知見っていうのもあるはずなんだよ。それが創作の役に立つこともあるわけだしさ」


「はぁ~、なるほど……やっぱり大事なんですね、そういうの。ためになります」


「単純に話のネタにもなるしね。時間に余裕があるのなら、新しい趣味を持つのはおすすめだよ」


 創作者らしい意見を述べる優人の言葉に、うんうんと頷きながら感心する零。

 いい形で二つ目のお便りに関しても取り上げ終わった二人は、三つ目のお便りとしてやや踏み込んだものを取り上げることに決めると、優人が代表してそれを読み上げていった。


「では、三つ目のお便りです……【こんばんは! いきなりの質問ですが、お二人の恋バナが聞きたいです! 色々と語ってください! お願いします!!】」


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(お試しの販促企画)

一番目に見えてわかりやすい、Amazonさんの在庫数

現在残り13冊なのですが、これが10、5、0になるか新しく入荷されたら、皆さんからお題を受け取って短編を書こうと思います!

やってみせろよ、マフティー!(URL貼れなくてごめんなさい!)(お題募集はTwitterと近況ノートの方でやる予定です!)

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