お誕生日って、いつなんだ?
『皆さんの誕生日を教えてください。もしかしたら配信で言っているかもだけど...』
「誕生日かぁ……公式サイトの方で紹介されてるけど、配信ではあんまり言ってないな」
「私はもう誕生日配信をしたから知ってる人も多いと思うけど、枢くんとしずくちゃんはこれからだよね?」
「うん。一応、ボクは去年やらせてもらったけど、何日かっていうのは忘れてる人が多いかも」
まずは無難オブ無難とでもいうべき誕生日に関する話題に触れる三人。
調べようと思えば誰でも調べられる情報ではあるものの、場を温めるにはちょうどいいそのマシュマロに対して、それぞれが順番に回答していく。
「私は五月の一日です。デビューから間もなかったし、色々あったせいであんまりちゃんとした配信はできなかったけど、来年はリベンジしたいと思います!」
「順番的に次は俺か。俺の誕生日は十二月十一日な。胃にいい日って覚えてくれ」
「ボクは四月の十五日、よい子の日だよ。多分、ボクが一番覚えてもらいやすいんじゃないかな?」
【五月一日、十二月十一日、四月十五日……よし、全部覚えた!】
【くるるんの場合、誕生日かつ胃にいい日なのに胃がぶっ壊れるくらいのストレス浴びることになりそうで怖い】
【一応、【CRE8】所属Vはそれぞれの星座が対応してる月と日に誕生日が来るようになってるから、比較的覚えやすいと思うぞ!】
【うお座のウオミーの後におひつじ座の芽衣ちゃんの誕生日が近いの、なんかいいな】
【よくわからんが誕生日配信ではスパチャ投げまくってやるから覚悟しとけよ!】
「ふふふ、そっかぁ……! 二人の誕生日、語呂合わせがあって覚えやすくていいね。私もそういうの欲しかったなぁ……」
「月の始めだし、語呂合わせがなくても覚えやすくていいじゃない。ゴールデンウイークの真っ最中でもあるわけだしさ」
「ボクたちの中で次に誕生日を迎えるのは枢くんなんだね。当日は一生懸命お祝いするから、楽しみにしてて!」
公開された誕生日に関して話をしていく三人。
これはあくまでVtuberとしての誕生日であり、中の人である零たちの誕生日はまた別ではあるのだが、それが友人の記念すべき日であることに変わりはない。
そこそこ近くにまで迫っている枢の誕生日について話題が移っていく中、話の中心人物である枢はぼそりとこんなことを呟いた。
「なんかあれだな。数か月前にデビューした時には、誕生日のお祝いなんてできっこないよな~、とか思ってたけど、今ではこんな感じだもんね。すげえ不思議な感じがするや」
「デビュー直後を知ってる私からしてみてもそれはそうとしか思えないかも。今となっては本当に変な話だけど、凄い叩かれてたもんね」
「ボク、あんまり詳しく知らないんだけど……そんなに凄かったの?」
「いや~、しずくちゃんにわざわざ話す必要ないでしょ。少なくともここで話すことじゃあないよ。まあ、今の俺が言えることとしては、沢山の人が俺を祝おうと思ってくれるようになったことが嬉しい、って感じかな」
遠いようでそう遠くもない、今となっては笑い話としか思えないデビュー直後の大炎上を思い返した枢が、軌道を修正しつつ自身の本心を述べる。
嘘偽りのない本音を吐露した彼は、こうして共に配信を行っている友人たちとそれを見守ってくれているリスナーたちに対して感謝の気持ちを伝えていった。
「デビュー直後は色々と絶望的だったけど、今はこうして同期や先輩とも友達として配信できるようになったしさ。【CRE8】のファンたちも普通に俺を認めてくれてるわけじゃん? 誕生日配信どころかその日まで生き延びることすらできなさそうだった俺がこんなふうになったことは純粋に嬉しいし、こうして応援してくれてるみんなには本当に感謝してるわけよ」
【おっ、なんだ? くるるんの貴重なデレムーブが見れるのか?】
【ホントなっつかしいわ~! なんであそこまで燃えてたんだろうね?】
【今はもう【CRE8】どころかVtuber界隈のファンたちも枢のこと認知してるからな。半年でここまで枢が成長するだなんて、誰も想像してなかったんじゃないかな?】
「ふふふ……! 枢くんが沢山の人たちに愛されるようになったのも、枢くんがこれまで関わってきた人たちのことを一生懸命に応援して、寄り添ってきたからだと思うよ。温かくて優しい人だって、そういう部分がわかってもらえるようになったのも枢くん自身の行動のお陰だって」
「ボクの時も、初対面のボクに対して優しくしてくれた上に、一緒に大会にまで出てくれてさ……感謝するのはボクの方だよ。枢くんと出会えてなかったら、ボクは変われないままだったと思う。本当に……ありがとう」
【てぇてぇな。ああてぇてぇな。てぇてぇな】
【芽衣ちゃんもウオミーもくるるんに感謝してるけど、くるるんも二人に感謝に感謝してる。いい関係だよな……】
【芽衣ちゃんの言うことに完全同意だわ。男は要らないっていうアンチの声を完全に黙らせてファンたちから認められるようになったのは、枢が誰かのために一生懸命になれる人間だってことが知れ渡ったお陰。つまりは枢本人が頑張ったからこそ、今の状況があるんやで】
蛇道枢が参加しているマシュマロ配信とは思えない、温かな雰囲気が一同を包む。
この空気に照れくささを感じた枢は、苦笑しながらこの話題を締めるべく、こう話を総括した。
「そういう意味では誕生日配信ってのは俺の変化とか成長を実感できる絶好の機会になるのかもね。凸待ち配信とかやったら、交友関係とかもわかるだろうし……今の内から企画練っておこうかな?」
「いいと思う! 私たちも絶対に参加するね!」
「ボク、楽しみにしてるから! いっぱいいっぱい、お祝いさせてもらうから!」
【いいねえ! 観る側も楽しみな企画だ!】
【今の枢の交友関係を知るいい機会にもなるし、面白そう!】
【芽衣ちゃんとウオミーはもちろんのこと、二期生、しゃぼん、マコト、他箱だと【SEASON】とか【VGA】とかの面子も来てくれそうだし、盛り上がるのは間違いないでしょ!】
「おう、楽しみにしてくれよな。でもまあ、まだ先の話だし……これについてはここまでってところで、次のマシュマロを紹介するか」
今後の期待を膨らませつつ、いい感じに誕生日に関する話題に決着がついたところで話を進めるよう促す枢。
その言葉を受けた芽衣たちは、また別のマシュマロを彼とリスナーたちに紹介する。
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