3日目は、ごめんね
必死に声を絞り出した芽衣の叫びに、たらばのたわわなたらばに魅了されていた愛鈴もようやく我に返ったようだ。
はっとした表情を浮かべて激しく首を左右に振った彼女は、自分をおかしくしていた驚異の胸囲に恐ろし気な視線を向けつつ、その感情を振り払うかのように芽衣の意見に乗って話を切り替えていった。
『そ、そうね。えっと、3日目は――』
『俺へのドッキリ企画ですね。検証企画でもあるのかな?』
火種が消滅したことを確認した枢が、芽衣への感謝の気持ちを抱きながら会話に復帰する。
2期生ウィークの開始前から準備されていた3日目の企画を振り返る一同は、その主役となった枢へとからかいの言葉を投げかけていった。
『ああ~! あの枢がなんだかんだで私のことを大事に思ってるってことが判明した企画ね!! いや~、モテちゃって困るな~!!』
『……なんかお前、腹立つな。あの順番がそのまま好感度の高さに繋がってるわけじゃないってことは、前に説明したはずなんだが?』
『お? じゃあ、芽衣ちゃんが1番じゃあないってことか? くるめいはビジネスだったってのか!?』
『俺がお前と芽衣ちゃんを同等に扱うわけねえだろうが。身の程を知れ』
【辛辣だが、正論しか言ってない】
【これは後で黒羊さんと枢がタッグを組んでの制裁が行われますね、間違いない】
【今日の愛鈴は大変だ。褒められたりけなされたりセクハラしたり凹られたり、やることが多いな】
歌ってみた動画を誰と一緒に歌うか? その順番をどうするか? という検証結果を発表するという内容の配信を振り返った枢が気恥ずかしさを感じながら愛鈴へと突っ込みを入れる。
リスナーたちもまたそんな枢に加勢するかのようなコメントを寄せる中、残りの3名が各々の感想を口にしていった。
『でも、仕掛人側の私たちからすると面白い企画だったよ~! 枢くんが私たちのことをどう思ってるかが知れたのも良かったさ~!』
『わーも、嬉しかっただよ。放っておげね妹みんた奴だって言ってもらえで』
『私も……うん、そうだな……2期生全員を巻き込んで考えた企画だし、編集とかも頑張ったし……それが上手くいったことが凄く嬉しかった。協力してくれたみんなにも、本当に感謝してます。もちろん、ドッキリの標的になってくれた枢くんにもね』
『……芽衣ちゃんにそう言われると許すしかなくなるんだよなぁ……』
『えへへ。前にも言ったけど、枢くんのそういう優しいところ、好きだよ』
【てぇてぇが帰ってきた(10分ぶり2回目)】
【今日は枢が芽衣ちゃんにデレる日だなぁ……】
【うっっ!?(尊死×3)】
【めいとと枢リスナーの残機が馬鹿みたいに減っていく(コンティニュー済み)】
【ああ~、尊さで体が消滅していくんじゃ~……!】
3日目の振り返りと思わせつつ、またしてもイチャつき始めた枢と芽衣の様子にリスナーたちが歓喜の声を上げる。
つい先程まで漂ってきた甘い空気がぶり返していることを感じた愛鈴がわざとらしく舌打ちを鳴らしてからコップに注いだウーロン茶を一気飲みする中、にこにこ顔で2人のやり取りを見守っていたたらばが新たに焼いたお好み焼きをそっと芽衣の皿へと乗せながら、彼女へと耳打ちをしてきた。
『芽衣ちゃん、枢くんをドッキリのターゲットにしちゃったお詫びをここでしておいた方がいいんじゃない? そのお好み焼きは私からのお詫びってことにして……それを枢くんに食べさせるのが、芽衣ちゃんの役目ってことで!』
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