小休止、現在の賞金額は?


『や、やるぅ……! でも、ひっかけ問題に正解された悔しさより、坊やがママのことをよくわかってくれてるのが知れたからOKです!』


【しっかりくるるんも母親って言ってたからな。なんだかんだでまだママと認めてくれてるわけか】

【でも調子に乗ってるとすぐにまた縁切られるぞ】

【親子もてぇてぇなぁ……】


 しゃぼんの思考を見抜き、彼女が用意したひっかけ問題を見事に突破した枢の一言に思い思いの反応を見せるリスナーたち。

 結構ひどい目に遭わされながらもまだしゃぼんのことを母親として認めてやっている彼の思いやりに一同が感嘆する中、調子に乗ったしゃぼんがまたも要らない発言を口にしてしまった。


『いや~! 枢坊やもやっぱり男の子なんすね~! おっぱいの大きい同僚が気になるというか、その辺の情報収集は怠っていなかったっていうか……巨乳好きを公言してるだけはある――』


『リア様、一旦配信止めてもらっていいっすか? ちょっとこの人、本格的に締めなきゃ駄目っぽいんで』


『え? あ、はい。じゃあ、少々お待ちを……』


【ほら、言わんこっちゃない……】

【#絶対わざとやってるだろしゃぼん】

【息子からの思いやりを無下にする母親の屑】


 配信画面が待機中のものに切り替わり、音声も無音に変わる。

 間違いなく裏で枢からの折檻を受けているであろうしゃぼんに対して、自業自得だという共通した感想を持ちながら数十秒の時を待ち続けたリスナーたちは、再び画面が元通りになった後、いやに顔のパーツが中央に寄っているしゃぼんの姿を見て盛大に噴き出してしまった。


『ま、前が……前が見えねえ……』


『あんた、本当にそういう無駄な仕込みだけは潤沢に用意してるよなぁ……出来ればそれを使わないよう努力してほしいんですけど?』


『ど、努力はしてるんすよ? でもやっぱ、自分って素がダメ人間っすから、絶対に余計な一言がポロリしちゃうんすよね……』


 自分で用意したであろう、おしおきを受けた後Verの顔面を取り外しつつ息子に応えたしゃぼんは、そのまま1度現在の獲得賞金を確認すべく、クイズの休憩時間を取った。


『丁度いい機会なんで、一旦ここで獲得賞金を確認してみましょうか? 現在、2期生のみんながクイズに正解してゲットした賞金の合計は、4500円! 目標金額が15000円っすから、なかなかに順調なんじゃないっすかね?』


『ここから賞金の金額も上がってくるだろうし、もしかしなくとも余裕で目標金額を突破出来るんじゃないかな~!?』


『そうなったら寿司のグレード上げるわよ! 松竹梅の松選んでやるわ!』


『あ、愛鈴さん、凄く気合入ってますね……』


『食い意地が張ってるんだよ。人の金で豪勢な飯を食べたいっていう浅ましさが全身から溢れてるだろう?』


『わー、質はそごそごでいはんで、いっぱい食いでなぁ……』


 現在出された問題は、練習問題も含めて4問。その内の3問を正答して賞金を獲得していると考えれば、この滑り出しはかなり順調だといえるだろう。

 だがしかし、ここからは賞金額も高くなる代わりに、問題の難しさも比例して上昇していく。

 不正解ならば賞金は0という高難易度の問題が多く出揃うであろうこの先のクイズに対して気合を引き締めると共に、枢たちは必ずや豪勢な祝賀会を行うために目標金額を突破してみせると決意を新たにしていた。


『う~む! みんな、気合は十分っすね! そんじゃあ、お次の問題に行ってみましょうか!』


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