第3試合後攻・リア・アクエリアス
『ふふっ、ふ、ふふふふふっ……!』
楽しそうで無邪気な笑い声から始まったリアの演技へと、耳を傾けていく出演者とリスナーたち。
これまでの演者たちと比べればややぎこちなさはあるものの、彼女なりに工夫を凝らそうとしているその演技へと、全員が注目する。
少なからずプレッシャーを感じているであろうリアは、そういった重圧にも負けない図太さを見せつつ、用意した武器を解き放った。
『ありがとね、枢兄っちゃ。かまくら作るの手伝ってくれだ上さ、お鍋まで用意すてもらって……わー、1度でいいんでごうすてがまくらの中で温かいご飯食ってみだがったんだ~!』
……その台詞を聞いた者たち(特に男性)の間に、電撃が走った。
お兄ちゃん……リアの口から放たれたその一言の素晴らしさと威力の高さに一同が唖然とする中、妹ムーブを見せる彼女は楽し気に兄と仮定した枢との会話を続けていく。
『兄っちゃの料理、
かちゃん、かちゃんと小物を使って食器と箸が触れる音を表現した後、『バイカムⅡ』の横でふぅふぅと息を噴くリア。
枢の耳にではなく、隣で何かを冷ますために息を噴いている自身を表現した彼女は、そこから無垢で無邪気な口調でこう言ってみせる。
『お肉、すっかり煮えだみだいだよ。かまくら作り手伝ってくれだお礼さ、わーがお兄ちゃんに食わへであげるね。ほら、あ~ん!』
あ~ん、という本来ならばかなり火力の高い行為をしてみせるリアであったが、その行動にはそこまで卑しさというか、女性として自分をアピールしている雰囲気が感じられない。
無邪気さであったり、自身のキャラクター性を活かしたRPであったり、そういった部分を上手く使って演技力をカバーした彼女は、これまた楽し気な雰囲気の台詞で演技を締めくくった。
『どだべ? うめぇ? ……って、兄っちゃが作ったんだはんで当だり前が! じゃあ、わーも……いっただっきまーす! うん! やっぱり枢兄っちゃの料理は最高だね!』
『……はい、お疲れ様です! いやはや、これはこれは――』
最後まで天真爛漫さと無邪気さを途切れさせることなく演技を終えたリア。
ASMRだけでなく演技も初心者であるはずの彼女の予想外の健闘をどう称えるべきかとさくらが言葉を選ぶ中、一足先に口を開いた愛鈴が舌を巻きながらこう呟いた。
『忘れてた……リア様、方言キャラで、無口キャラで、それ+妹キャラでもあったんだった……!』
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