楽器から感じ取る、仲の良さ


『んじゃ、お次はわーで。このマシュマロに答えてみようかな?』


 順番にマシュマロを披露し、最後に残ったリアが明るい口調でそう呟く。

 ややあって、彼女が同期たちへと提出したのは、音楽が好きな彼女らしいマシュマロであった。


『もしも、バンド組むなら演奏する楽器は?』


『はいはいはい。いい質問ですね。うちのリスナーたちにも見習ってほしいくらいだ』


『その楽器を弾けるかどうかは無視して、どの楽器をやりたいとか、似合うとかを考えてみるってことでいいのよね?』


『これ、ボーカルは楽器として含まれるんですかね? その場合、リア様がボーカルは確定だと思うんですけど』


『わーもそれがいなぁ。皆さんの演奏バックさ歌ってみたい』


『んじゃ、ボーカルはリア様で決定ってことで。残りの楽器はどうします?』


 楽器……と呼べるのかはわからないが、歌が好きで上手いリアをボーカルのポジションに置くことはすぐに決定した。

 残りの4人は、各々がどの楽器ポジションが相応しいかを楽しく話し合ながらそれを決めていく。


『はいは~い~! 私、ドラムやりたい!! 思いっきり叩いたりするの楽しそうさ~!』


『花咲さんが1番後ろにいてくれると安心感がありますね。ドラム、うってつけなんじゃないでしょうか?』


『そういう芽衣ちゃんはキーボードが似合うと思うよ。なんかピアノ系の楽器が似合う気がする』


『確かにねぇ。私的には激しくエレキギターを掻き鳴らす芽衣ちゃんとか見てみたい気もするんだけどね』


『残りはベースどギターだね。羊坂さんは、蛇道さんにはどっちが似合うど思います?』


『う~ん……ベースかな。なんか縁の下の力持ちって感じがするし、枢くんにぴったりだと思うよ』


『愛鈴ちゃんは派手好きだし、目立つギターが良さそうだしね! 丁度いいんじゃないかな!』


【おお、すんなりと決まった! お互いの性格とかわかってる仲良し同士の話し合いらしくて良き!】

【夫婦がお互いにお互いの楽器決めてる……てぇてぇ……!】

【あとは本当に楽器を買って練習するだけだな。2期生バンドの始動、待ってます!】


 特に時間をかけることもなく、誰もが納得するような結論を出した2期生のスムーズな話し合いにリスナーたちも満足気だ。


 こうして全員が同期たちの性格を把握し、お互いにとっての最適解を導き出した2期生の様子からも、彼らの仲の良好さが感じ取れる。

 リスナーたちが同期として、友人として、2期生たちが良い関係を作り上げていることを喜ぶ中、マシュマロ配信は次なるフェーズへと進んでいった。


『じゃあ、ここまでは全員で答えるような質問を取り上げてきたけど、ここからは各個人に宛てられた質問に答えていこうか!』


『大丈夫かなぁ? 俺だけクソ濃度が高いマシュマロが送られてきてる気しかしねえんだよなぁ……』


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